2 「そうか、それは大変だったな……。では、ソーディアンは……」 最後まで黙って聞いてくれた国王は、誰も守る事のできなかった俺に、それでも労いの言葉をかけてくれた。 「今はマスターと認めた者と共に行動しています。元々ここへ来るようでしたから……何事もなければ近い内にやって来ますよ」 「ん?何事もなければ、というのは?」 あ、うっかり言っちまったよ。今からリオンにしょっぴかれて来るんだなぁと思ったらつい。 「いえ、何と言うか……相当にお人好しで純粋な人間なので、事件に巻き込まれやすいというか……」 事実既に犯罪の片棒担がされてるしな。 そう思ってると、突然後にあった扉が開いた。 「リオン様がご到着なされました」 いや、速いからっ!俺が追っかける間もなかったじゃんか!! リオンが戻って来たってことは、スタン達を捕まえてきてるんだよなぁ。アイツらハーメンツ着くの速過ぎるんじゃねぇか? 「シェイド……!」 懐かしい声が聞こえて、そちらを振り向くと。 「えっ……と、これは事前に謝った方がよろしいんでしょうか?(汗)」 怒ってるって、アレなかなり!静かに怒りのオーラが漂ってるって!! 「―――お前は……」 うわ、来る。 「どうして連絡の一つも寄越さないんだっ!!生きていたのなら伝える手段くらいいくらでもあっただろう!全く、その呑気さを少しはどうにかしたらどうなんだ!飛行竜が墜落してお前が死んだと聞いた時、どれだけ周りが心配したと思っているっ!!」 リオンの声が鼓膜に響き渡る……。そんな至近距離で怒鳴らないでくれよ、俺が悪かったのは分かってるけどさ。 『そうですよ!!この三日ほど、生きた心地がしなかったんですからね!!!坊ちゃんがどれほど心配したことか……』 うお、お前もかシャル。耳と頭にダブルパンチだぜ……って、今なんて言った? 「……リオンが、心配?」 一気にリオンの顔が耳まで赤くなったようだった。って、え、うそ、マジ話なのか!? 『そうだよ!シェイドが死んだって聞いた時には、静かに取り乱してたんだからね!!』 「そういえば、死体の確認でお前の容姿を尋ねられた時も、真っ先に答えていたな」 「だが、一番お前の無事を信じておったぞ。「アイツは帰って来る」と断言しておったしな」 「……っ、貴様ら黙れ!!////」 シャル、イスアード様、国王に畳み掛けられる哀れなリオン。見事に遊ばれてるな。 でもいくら図星突かれたからって、仮にも国王を貴様呼ばわりはまずいぞ? でも、 「ゴメンな?心配かけて……。あと、信じて待っててくれて、ありがとう」 「べ、別に……」 なんかもうこれ以上弄るの可哀相になってきた。そろそろ話題転換してやるか。 「じゃあ、簡単に今までのこと、説明するよ」 『あ、その必要はありませんよ』 え? 「あいつらに詳しく聞かせてもらったからな」 あぁ、そういえば……。 「おい!連れて来い!」 すっかり忘れてたわ。 「シェイド!?」 「……三日ぶりだな、スタンやっぱり面倒事に巻き込まれたか」 こいつらも当事者だったな。 [back][next] [戻る] |