「そうか、それは大変だったな……。では、ソーディアンは……」

最後まで黙って聞いてくれた国王は、誰も守る事のできなかった俺に、それでも労いの言葉をかけてくれた。

「今はマスターと認めた者と共に行動しています。元々ここへ来るようでしたから……何事もなければ近い内にやって来ますよ」
「ん?何事もなければ、というのは?」

あ、うっかり言っちまったよ。今からリオンにしょっぴかれて来るんだなぁと思ったらつい。

「いえ、何と言うか……相当にお人好しで純粋な人間なので、事件に巻き込まれやすいというか……」

事実既に犯罪の片棒担がされてるしな。
そう思ってると、突然後にあった扉が開いた。

「リオン様がご到着なされました」

いや、速いからっ!俺が追っかける間もなかったじゃんか!!
リオンが戻って来たってことは、スタン達を捕まえてきてるんだよなぁ。アイツらハーメンツ着くの速過ぎるんじゃねぇか?

「シェイド……!」

懐かしい声が聞こえて、そちらを振り向くと。

「えっ……と、これは事前に謝った方がよろしいんでしょうか?(汗)」

怒ってるって、アレなかなり!静かに怒りのオーラが漂ってるって!!

「―――お前は……」

うわ、来る。

「どうして連絡の一つも寄越さないんだっ!!生きていたのなら伝える手段くらいいくらでもあっただろう!全く、その呑気さを少しはどうにかしたらどうなんだ!飛行竜が墜落してお前が死んだと聞いた時、どれだけ周りが心配したと思っているっ!!」

リオンの声が鼓膜に響き渡る……。そんな至近距離で怒鳴らないでくれよ、俺が悪かったのは分かってるけどさ。

『そうですよ!!この三日ほど、生きた心地がしなかったんですからね!!!坊ちゃんがどれほど心配したことか……』

うお、お前もかシャル。耳と頭にダブルパンチだぜ……って、今なんて言った?

「……リオンが、心配?」

一気にリオンの顔が耳まで赤くなったようだった。って、え、うそ、マジ話なのか!?

『そうだよ!シェイドが死んだって聞いた時には、静かに取り乱してたんだからね!!』
「そういえば、死体の確認でお前の容姿を尋ねられた時も、真っ先に答えていたな」
「だが、一番お前の無事を信じておったぞ。「アイツは帰って来る」と断言しておったしな」
「……っ、貴様ら黙れ!!////」

シャル、イスアード様、国王に畳み掛けられる哀れなリオン。見事に遊ばれてるな。
でもいくら図星突かれたからって、仮にも国王を貴様呼ばわりはまずいぞ?
でも、

「ゴメンな?心配かけて……。あと、信じて待っててくれて、ありがとう」
「べ、別に……」

なんかもうこれ以上弄るの可哀相になってきた。そろそろ話題転換してやるか。

「じゃあ、簡単に今までのこと、説明するよ」
『あ、その必要はありませんよ』

え?

「あいつらに詳しく聞かせてもらったからな」

あぁ、そういえば……。

「おい!連れて来い!」

すっかり忘れてたわ。

「シェイド!?」
「……三日ぶりだな、スタンやっぱり面倒事に巻き込まれたか」

こいつらも当事者だったな。



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