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「はぁ、はぁ……クソッ!ここもダメか……ッ!」
勢いよく開けた扉の先には、血だらけの、死臭が漂う部屋。中にいた人もとうに全員事切れていた。
『スタン、もう諦めろ!……きっとここのクルー達は……』
「だって、シェイドと約束したんだ!生きている人がいたら、連れて行くって…!」
それまでずっとふざけたような言い方しかしなかったシェイドだけど、あの時だけはすごく真剣だった。だから、何としてでも約束に答えたいんだ。
一人でもいい、誰か……!
「どこかにいるはずなんだ、たくさんの人が乗ってたんだから。だから…『スタン!!』
ディムロスの今までにないくらいの怒鳴り声に、びくっと体が震える。
『そのシェイドと言う奴も、この危ない中お前の帰りを待っているんじゃないのか!生きているか死んでいるかも分からないような奴を当てもなく探すより、今、確実に生きている者を優先すべきだろう!』
「………!」
……そうだ、シェイドはこの剣が重要な物だって言ってた。俺がディムロスを持って行くまで、この飛行竜からは脱出できないんだ。
『……もしかしたら生きている者もいるかもしれない、それを助けたいという気持ちも分かる。だが、それでお前に死なれては困るんだ。長く眠り続け、ようやく見つけたマスターなのだから……』
呟くように言ったディムロスの声がすごく苦しそうで……それを聞いた俺の頭も少しは冷静になってきた。そうだ、ディムロスだって悔しくないわけがないんだ。
「分かった。この部屋で、最後にするから……。脱出しよう!」
決意も新たに覗いた扉の向こうは、やっぱり一面の血の海。目を逸らしたくなる光景だけど、俺は一歩足を踏み入れた。その時、
「……ぅ………」
本当に小さな呻き声が聞こえた気がして駆け寄ってみると、一人の船員さんの胸が、微かに上下していた。
「……!しっかりして下さい!!」
咄嗟に抱き起こし、声を掛ける。怪我は酷いが、死に至るほどのものじゃない……よな?
「脱出しましょう!歩けますか?」
そして、生きていた人がいたことに、俺もディムロスも油断していたんだ。ディムロスが大声で俺の名前を呼んで、振り返る間もなく、なにか大きな衝撃があって。
気がついたら、おれの上に 覆い被さるように倒れた、さっきの怪我をした船員さん。
「チッ……死に損ないが……。他人を庇うなど、人間はなんと愚かしい生き物か」
庇った?俺が、庇われた?
くずおれる身体を抱き留めるものの、彼は既に、息をしていなかった。
「……う、うわあぁぁぁぁっ!!」
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