運命の歯車は廻りはじめる1 俺とリオンが揃って国王に呼び出されたのは、誕生日パーティーからたった五日後のこと。 そして告げられた任務とは、俺が今、最も恐れていたものだった。 「飛行竜で輸送するソーディアン・ディムロスの護衛、ですか……」 「そうだ。それをお前達二人に任せたいと思っている」 とうとう運命の物語が始まるってか……ん、ちょっと待て、二人って? 「分かりました。その任務お受け致しま…「お待ち下さい!」 承諾しようとしたリオンの言葉を遮って焦ったような大声上げちまったら、普段聞き慣れない皆がちょっとビックリしてる。でも、俺的にはそんなの構ってる場合じゃねぇし。 「……今回の護衛、俺一人にお任せ戴きたく存じます」 『シェイド!?どうして……』 今までこんな図々しいことは申し出たことなんてなかった。そんな俺に、ますます怪訝な顔をする周りの人々。 「珍しいな。お前がそんなことを言い出すなど……」 「これまでの任務は常にリオンと共に行動するものばかり。そろそろ俺個人の力も評価して頂きたいと思いまして……」 「どうしたのだ、シェイド?貴公らしくない考えだな」 あらら、イスアード様結構俺のこと分かってんじゃん。でも、だからって俺もボロを出すわけにはいかないんだよ。 「俺も一人の人間ですから、欲も野心もございます」 このセリフは、いろんな意味で心にのしかかってくるなぁ……って、卑屈になってる場合じゃないし。 「……そうか、分かった。ならば今回はお前一人に任せよう」 「陛下っ!」 リオンが不満そうな声を上げる。そりゃそうだよな、俺だって理不尽だと思うし。 でも悪ぃな。今回ばかりは譲れないんだよ。 「はい。シェイド=エンバース、ソーディアン護衛の任、承りました」 リオンをわざわざ必要もない危険な目に遭わせたくねぇからな。 [back][next] [戻る] |