赦されることは望まない1
和やかで、でもいつもより明るく賑やかな食卓。
いつもここで一緒にメシ食うのはヒューゴ様やリオンだけだったから、やっぱどことなく寂しかったんだよなー。
結構話すようになってきたけど、リオンって元々そんなに喋るタイプじゃないし。
そんな本日の主役サマも、今はマリアンと一緒に心なしか楽しそうに談話中。マリアン近くに座らせといてよかったー。
おっ、そろそろ料理もなくなってきたな。んじゃ第二のサプライズといきますか。

「料理長さん、アレ、用意しましょうか」
「そうですね。では、私が持ってきますよ」

わかってるねぇ、ダンナ♪どうやらこの料理長さんにも悪戯仕掛人の青き血が流れているようだ。

「おーい、今から定番のバースデーケーキなんですから、皆さん腹に余裕持っといて下さいね〜」

そして、料理長が持って来てくれたケーキを配っていこうとするのだが…、やっぱそこは日々仕えることを生業としている者の性か、皆さん自分で取りにきた。ま、楽でいっか。
そしてそれぞれがケーキにフォークを入れ始める。

「どーだよ少年、本日のケーキは。プリンのミルフィーユモンブラン仕立て」
「ホントに僕の好みを把握してるな、お前は………」

んなこと今更だっつの。

「で、ご感想は?」
「……………不味くは、ない」

まぁったく正直じゃないなぁ。でも、リオンの不味くないはイコール美味しいと考えていいっぽいから、この賛辞は素直に受け取っておこう。
ではでは第二のサプライズ。

「お褒めいただき恭悦至極。実はこれだけ俺が作ったんだよ」
「「「「「!?」」」」」

そう言ったとたん、この部屋にいるコックさん達以外全員の噴き出す音が聞こえた。
あれ?もしかして皆にもサプライズをお届けしちまった?

「……………お前、料理出来たのか…?」

さすがに吹き出すまではしなかったリオンも、結構ビックリしてるみたいだな。

「あんまりやんねーけど、人並みには出来る」
(((((人並みでプリンをミルフィーユになんか出来ませんっ!!)))))

どうもその時使用人達の心が一つになった気がしたが………きっと気のせいだ。
俺を仲間外れにするなんて許さん。
と、皆がケーキを食べ終わった頃、メイドの何人かがリオンの方に近付いていった。

「あ、あの、リオン様。大した物ではございませんが、私達からの気持ちです」

おどおどしながらも渡したのはプレゼントみたいだ。それをきっかけに、他の皆もリオンの所へと集まっていく。
愛されてるじゃん、少年♪
ん〜?でもなんか忘れてるような……。

『シェイド、坊ちゃんに渡さないんですか?』
「………………あ、それだ。部屋に忘れてきたんだった」

『………』



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あきゅろす。
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