2 そして件の誕生日当日。 「リオン〜。ハッピーバースディ♪」 朝ご飯を食べについた食堂で、開口一番に言ってみた。 『シェイド………けっこう普通だね。朝一で言うところ以外は』 「そうね。もっと驚くようなことするかと思ってたんだけど」 ちょっとシャルにマリアンまで……。俺だって友人の誕生日くらい普通に祝うって。 『何か拍子抜けっていうか、ホッとしたっていうか……』 「お前がまた馬鹿なことをするんじゃないかと思うと、おちおち寝てもいられなかった」 「なんだよー。多少のサプライズはあるかもしんないけど、俺がフツーにしてたらそんなに変かよー」 「「『不気味』」」 うわぁん!そんなこと声揃えて言うことないじゃん! 「ひでぇよ皆!もうこうなったら剣の稽古でもして青春の汗で辛い過去を洗い流してやるっ!!ごちそうさまっ!」 食後の運動は体に悪いが夕日に向かって走り続けるんだ、俺!!(今は朝です) 『Σえぇっ?いつの間に食べたんですか?』 「乙女の秘密だーーっ!」 「お前は男だろっ!!」 ウソ泣きしながら食堂を飛び出し(リオンのツッコミが追ってきた気もするが)、とりあえず庭に出た俺が向かったのは厨房だった。 ちょっとばかり行儀はわるいが窓から失礼。だって他に入口ないし。 「おはよーざいまーす。本日も美味しい朝食、ありがとうございまーす」 「「「「シェイド様?!」」」」 あらら驚かしちまった。それもそっか。いきなり窓から出てきたらビビるわなぁ。 「えっと…、前から頼んでた通り、ちょっとだけ厨房貸してほしいんすけど……」 「あ、あぁ……そういえばお約束しておりましたね。何かお手伝いすることはありますか?」 「いや、大丈夫ですよ。ありがとうございます。頼んでた通りにしてくれれば十分ですから。。皆さんも楽しみにしててくださいね!」 そういってお愛想程度にニコッと笑ったら、なぜか厨房の人達が顔を赤くして固まってしまった。 あれ?風邪でもひいたのか?(そんなベタな…) 「んじゃ、やりますか!」 ぐっと腕まくりして、俺は調理台に向かって意気込んだ。 [back][next] [戻る] |