宝石に願いをこめて1 俺がこの世界に戻ってきて約半年が経った。 ちょっと前に偶然マリアンから聞いたんだが、明日リオンは十六歳になるらしい。 (なんとも複雑な気分だなぁ…) ただ単にアイツの生誕の日を祝うのには何の問題もないけど、今から一年の間に、次の誕生日を迎えることなく死んでしまうのだと思うと、どうも素直に喜べない。 『あ、シェイド!あの店なんかどうでしょう?』 「え?あれって……装飾品店? ん〜そだな。試しに入ってみるか」 そんな気分でもやっぱ何かプレゼントは用意しなきゃなってことで、俺は今シャルと一緒に街を散策中。 別に珍しいことでも何でもなくて、リオンの任務がないときはしょっちゅう持ち出してたし。 「シャル〜、デート行こうぜ〜」とか 「リオンさん!シャルティエさんを俺に下さい!!」とか 「シャルティエ少佐、今日は作戦会議だ!」とか誘い方は色々だったけど。(普通に借りてって下さい) しかも最近では、珍しいことにリオンも一緒に付いて来ることもあるからビックリ。 「う〜ん……なかなかしっくりくるやつねぇなぁ……」 大体、プレゼントに悩んでても、リオンになにをやれば喜ぶかって考えた時点で挫折する。だって何やっても喜びそうにないっていうか、喜ぶ姿自体想像できないっていうか。(汗) 「………ん?」 そんな時、ふと目についたペンダント。 『あぁ、これは……アクアマリンですね』 淡い水色の優しい輝きを見て、ふとこの石の持つ力を思い出した。 「持ち主の心を癒し、身を守る……だったっけ…?」 『え………?』 「よっし、決めた!これにしよ〜」 ホントは海難予防らしいけど、身を守るならなんでもいいって。 俺がいつでも側に居られるとは限らねぇんだから、こうなりゃ藁だろうが宝石だろうが、何にだって縋ってやる。 ………どうか、アイツを……。 [back][next] [戻る] |