『シェイド、ああ言ってましたけど、坊ちゃんが倒れた時、すごく心配してたんですよ?』

きっとあんなふざけ方は、この会わなかった間に身に付けた処世術なんだろうね。だって、昔のシェイドを知っている僕から見れば、まるで別人だったし。

「あいつが?……想像できないな」

坊ちゃんだって、そう言いながら実は嬉しいんでしょう?今までマリアン以外に本気で坊ちゃんを心配してくれる人なんていませんでしたもんね。

『本当ですって!倒れた坊ちゃんに襲いかかろうとしてたモンスターを必死に切り倒して……』

ふと、あの時のシェイドの姿が蘇る。
表情もなく、返り血を浴びながら敵を切り捨てていった、鬼神のような姿。
それがなんだか怖くて、ずっとシェイドの名前を呼び続けたけど、全然聞こえてないみたいで……。
こんな時、ソーディアンじゃなければ、人間の身体ならってあの時ほど強く願ったことはなかったよ。
だから、シェイドが元に戻った時は本当に、心の底から安堵した。

『……坊ちゃん、シェイドの事、守ってあげてくださいね』
「……?アイツは自分の身は守れるくらい強いだろう。今更僕が何を……」
『……どんなに剣の腕が強くても、シェイドの心は、とても脆い、ですよ。………きっと』

とくに再会してからは、いつ崩れてもおかしくないような不安定さが見え隠れしてる。
きっと、いつも守ってばかりだった僕じゃ、支えられないんだ……。

「……考えてやっても……いい」
『え、えぇっ?!』

きっとまた怒鳴られるんだろうなぁって思ってたから、坊ちゃんのその言葉にはかなりビックリしますよ。

「べ、別に僕は……。今回のことで借りを作りたくなかっただけだ」

そういって顔を背けた坊ちゃんの顔、少し赤いのに気付いちゃいました。
シェイドと一緒にいることで、坊ちゃんにもいい影響が出ているのかもしれませんね。

『言いましたね、坊ちゃん?約束ですからね!絶対シェイドの事…「ああ…もう、うるさい!わかった。約束でも何でもしてやるから少しは黙れ!!」
「あれ、リオンどうしたんだ?顔赤いけど……。ま、まさか毒、ぶり返したのか!?どうすんだよ、もうパナシーアボトルねぇのに…!」
「違う!大体毒がぶり返すか!」
「うわぉ、坊ちゃんってばいつの間にツッコミなんて覚えたのさ!よし、これは二人でお笑いへの道を極めるべきだな…」
「なぜ僕がそんな茨の道を歩かなきゃならないんだ。お前一人で勝手に極めていろ」
「Σ酷ッ!?(泣)一人なんて寂しいじゃん!
赤信号も皆で渡りゃ恐くねぇんだから、茨の道だって二人で歩きゃ痛くねぇって」
「そんな馬鹿な話があるか。だいだい、その例え自体意味が分からん」
「あぁこれはさぁ〜、たとえルール違反でも、皆がやってることならそれは常識だっていうのが自己認識なんだけど、ほんとのところは俺にもよく分かんねぇんだよ」
「…………もういい」

だって坊ちゃん、今までになく楽しそうですもん。



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