2 あはは〜。リオンため息ついちゃってるよ。そりゃそうだよな、コイツの前でここまで性格崩したことなかったし。 「じじくさいなぁ、ため息なんかつくなよ。なけなしの幸せ逃げるぜ〜」 「うるさい、一言余計だ。誰のせいだと思っている」 さっきリオンにした説明は、あらかじめシャルと打ち合わせておいたもの。晶術が使えることも、バレるまでは黙っておくことにした。 だって、ハロルドが理論を構築した『高密度レンズによる晶術の発動』は、遠くない未来には多くの人が当然として使用していることだろうからな。あえてその理論を説明する気もないし。何故って?果てしなく面倒くせぇから 「とりあえず俺達もアルメイダに行くか。お前もちゃんと休んだ方がいいだろうし」 「……お前に心配されるほど弱くはない」 『あ、坊ちゃんちょっと照れてま……スイマセン、黙ります』 「フン、とっとと行くぞ」 へえ〜あれって照れてたのか?俺には全く分からなかったぜ……。 一人先を行くリオンを見ながら、ツキンと胸が痛くなるのを感じた。 (俺は、お前を見捨てる……) この世界に存在するはずのない俺なんかが、お前らが歩む運命に関わっちゃいけないんだ。 臆病者だと罵ってくれても構わない。俺は、運命に立ち向かうことなく逃げるのだから。 リオンの死を知っていて何もしない俺を、許してほしいとは思わない。 でも、最後のその時まで、 「お前が傷つくことがないよう、守り続けるから……必ず……」 それが、今の俺にできる精一杯の誓いだった。 [back][next] [戻る] |