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「貴公は我の名を知っているのか?」
知らなくはない。でもこの人の聞いている意味から答えると、
「存じ上げておりません」
「ならば何故、我に戦いを挑む?」
「私が、貴方と剣を交えたいと思ったからです」
これはホントにホント。ここに来た時から、この人の強さがずっと気になっていた。もちろん、リオンが弱いなんて思ってはいない。ただこのチャンスを逃せば、二度とイスアード様と手合わせなんてできないだろうと思ったから。
これも強さを求める剣士の性だねぇ。
「しかし、いくら剣士といえ年下の女に剣を向けるのは…。リオンならまだ年も近いこともあって戦いやすかろうと思ったのだが」
「うむ…少々気が引けるな……」
おいコラまてや。そこのオッサンども。(口悪いですよ)
俺の凍り付いた空気に気付いたのか、リオンが声を上げる。
「お待ち下さい、陛下!その……シェイドは男です……」
「「「「「「「「男っ?!」」」」」」」」
七将軍+国王の声が揃った。シバくぞテメェら……。
「失礼いたしました。自己紹介がまだでしたね。俺はシェイド=エンバース。れっきとした“男”です」
顔は笑ってるけど心はブリザード。なんなんだよもー皆してっ!いくら俺が女顔だからって、この肩幅と、板のように無い胸を見りゃ分かるだろッ!!
……そりゃまぁ、世の女性の中には俺と張り合えるくらい無い方もいらっしゃるかもしれないが……。
「そ、それはすまなかったな…。まぁ男なら、一戦交えてみてはどうだ?イスアード」
「えぇ、では先に中庭へ…」
チッ、逃げやがった。まぁいいか、なんか戦ってくれるっぽいし。
「おい、お前」
俺も中庭へ続こうとしたら、リオンに声を掛けられた。しかもなんか……呆れられてる?
「何故イスアード様に…。あの方は国内一の剣士だ。力量を測る前に倒されるのがオチだぞ」
ふぅん。天才少年剣士様がそこまで言うほどの人なのかぁ。
「ま、やるだけやってみるだけだって。もう申し込んじまったもんは仕方ないし」
『あ、話し方元にもどりましたね』
「当たり前だっての。あんな固っ苦しいしゃべり方続けてられるかよ」
肩凝りまくって岩になりそうだし。いや、冗談だけど。
「んじゃ、ご期待通り倒されに行って来るよ」
リオンに背を向け、手をヒラヒラさせながら中庭へと向かった。
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