李穂様へ「白雪姫と愉快すぎる仲間達」 いつものごとくいきなりですが、昔々ある所に白雪姫というとても美しいお姫様がいました。 シェイド「ちょっと待てルーティ。お前しょっぱなからツッコミ所満載なナレーションすんじゃねえよ。まず俺の名前白雪じゃねぇし、昔々って今俺ここに生きてるし。しかも俺男だから姫じゃねえし」 うっさいわねー人の名前わざわざ口に出さないでよ。アタシがこんな役してるだけでもありがたいと思いなさい! シェイド「…んだよ。どーせギャラがよかったから引き受けたんだろ(ボソリ)」 あーゴホン。ある晴れた昼下がりの事…。 シェイド「あ、話逸した」 一人の白馬に乗った王子様がやって来て白雪姫と出会ったのです。 リオン「………」 シェイド「………」 リオン「…もういい。自分でも分かっているから何も言うな」 シェイド「………(笑いの発作により悶絶中)」 そして二人は恋に落ちるのです。 シェイド&リオン「「Σ無理っ!!」」 そんな光景をこっそり見ていた人物が一人。 チェルシー「う〜!私の白雪姫さんと仲良くするなんて、リオンさんずるいですぅ!」 白雪姫の継母にあたるお妃様は、常々義娘の美しさを妬んでいたのです。 シェイド「どう聞いてもそんな呟きじゃなかったが。しかも俺の母親14歳って勘弁してくれ…父親犯罪だろ?」 白雪姫さえいなければお妃様こそが国一番の美女。 チェルシー「王子さえいなければ白雪姫さんは私だけのものです!」 リオン「…別に僕はコレを奪うつもりも貰うつもりもないが」 そしてお妃様は決心しました。 チェルシー「王子を亡き者にしては白雪姫さんが悲しみますぅ。私だけの物にならないななら、ここはいっそ誰にも取られない内にその命を絶ってしまいましょう!」 シェイド「Σそんな重い愛いらねー!!」 こうして白雪姫の逃亡劇が始まったのです。 シェイド「クソッ、覚えてろよ王子がぁっ!テメェがここに来なかったら平穏無事な老後が保障されてたのに!」 リオン「あの継母の狂愛ぶりなら僕が来なくても近々爆発していただろう。僕に非はない」 シェイド「黙れ、白馬に跨った白タイツが似合う王子様ルック坊ちゃんがぁぁぁッ!(逃亡)」 こうしてお妃様の魔の手から逃れるために森の中へと入っていきました。 シェイド「マジありえなくね?何で俺がこんな目に…」 フィリア「あの…何かお困りですか?」 シェイド「ん…アンタは?」 フィリア「森の動物3という者です」 シェイド「待て、何でいきなり3なんだよっ。1と2はどこ行った!しかも森の動物って何の種類なんだよッ!」 フィリア「いえ、二人とも急ぎの用事が入ってしまいまして…あ、アトワイトさん!」 シェイド「(何?森の動物の急用って何?)」 アトワイト「フィリア、どうしたの…ってあら、こちらは?」 シェイド「何故か一応白雪という事になってる。アンタは?森の動物4ってか?」 アトワイト「いいえ、私は森の動物7よ」 シェイド「だからその中途半端に抜けてる数字は何なんだよッ!」 アトワイト「三人とも長期出張中で不在なのよ」 シェイド「(どこにっ!?しかもお前らの単位は人なのかよっ!)」 フィリア「アトワイトさん、白雪さん何かお困りのようなんです…」 アトワイト「そうなの?じゃあ、行くわよ」 シェイド「どこへ?ってか俺を引きずって行くなッ!」 こうして動物達の助けにより、白雪姫は七人の小人達の家へと案内してもらいました。 シェイド「俺別にヘルプ頼んだ覚えねぇんだけど…ってか今日の俺は珍しくも終始ツッコミデーか?何か普段の皆の苦労が分かるっつーか…」 アトワイト「何をブツブツ言ってるの?着いたわよ」 動物達に連れられてやってきた小屋ですが、留守なのか誰もいないようです。 白雪姫はとりあえずその中へ入ろうとしました。 シェイド「いや、入らねぇから。立派に不法侵入だろうが」 入ろうとしました。 シェイド「だから入らなくてもいいっつの!別に他の所でも生きていけるし…」 入ろうと…「分かった。入りゃあいいんだろ…」 白雪姫が足を踏み入れた小人達の家はなんとも埃だらけ。白雪姫はさっそく動物達と大掃除を始めました。 シェイド「嘘つけぇッ!ありえねぇくらい片付いてんじゃねぇか!」 フィリア「白雪さんお疲れでしょう?どうぞおかけになって下さい」 アトワイト「お茶も入ったわ」 シェイド「…何かもうツッコミ入れんの疲れてきたんですけど」 と、そこへ明るい歌声が響いてきました。 アトワイト「小人達が帰って来たわ!」 フィリア「いけませんわ!白雪さん、今すぐお眠りになって下さい!」 シェイド「Σぐほぁっ!?」 森の動物3の鉄拳が見事にみぞおちに決まった白雪はここまでの疲れもあったのかその場で眠ってしまいました。 シェイド「疲れ…関係…ねぇだ…ろ…(パタリ)」 動物達が去った直後、小人達が小屋へと帰ってきました。 スタン「あれ、誰かいる?」 シャルティエ「本当だ。Σって気を失ってるよ!」 クレメンテ「こりゃまたキレーな顔しとるのぉ」 ディムロス「老、この年齢差は犯罪です」 ジョニー「なら俺ならイケるよな」 イクティノス「定職につけば大丈夫なんじゃないか?見た目だけはいいんだしな」 ウッドロウ「しかし貴方も四捨五入したら三十路でしょう?」 その声に白雪姫はぱちりと目を覚まし、目の前にいる人物に驚いて声を上げてしまいました。 シェイド「Σお前ら小人じゃねぇのかよ!デカいだろ全員っ!どう見積もっても平均身長175cmはかるくあるだろッ!」 ディムロス「ほう、なるほど。継母にその美しさを妬まれ殺されそうになってここまで逃げてきたと」 クレメンテ「ならばほとぼりが冷めるまでここに居るといい。ワシらは歓迎するぞ」 ウッドロウ「だが私達も慈善事業でこうする訳ではないからね。ここにいる間は、家事全般を担って貰うよ」 イクティノス「その代わり俺達のチェックは厳しいからな。少しでもホコリが残っていたらすぐにやり直してもらう」 スタン「Σそんな話カケラもしてないと思うんだけどっ!!?」 シャルティエ「しかも白雪さんのツッコミに対する反応は全くなかったね…」 シェイド「ってかお前らは新妻をイビる姑かっつの!幸先不安にさせるような発言すんなよなッ!」 こうして快く迎え入れられた白雪姫は、七人の小人達と共に楽しい日々を過ごすのです。 シェイド「…なるほど。今回のツッコミ係という名の苦労人は俺達三人か…」 スタン「…頑張ろうな二人共」 シャルティエ「そうだね…」 ジョニー「ハハ〜♪これから楽しそうだぜ」 ところ変わって王城では小人の家に逃げ込んだ白雪姫を妬むお妃様の姿が。 チェルシー「う〜っ!白雪姫さんを独り占めするなんて…許すまじ小人…」 コングマン「…ってか俺様はこんな所でさりげに初登場かよ…」 チェルシー「さぁ、家来よ!よいですか?今から小人達の家へ言って、白雪姫さんにこの毒リンゴを食べさせるのです!」 コングマン「Σどっから出したよそのリンゴ!しかもお妃が魔法で老婆に変身して自分で持って行くんじゃねぇのかよ!」 チェルシー「何言ってるんですかぁ?私が魔法なんて使える訳ないじゃないですか。それにこんな可愛い女の子がシワシワよぼよぼのお婆さんにはなれませんよぉ」 コングマン「(何を言っても無断だと悟る)…仰せのままに」 そうして家来は、老婆に変装し小人達の家へと向かいました。 コングマン「どう見ても俺様の方が無理あるだろ…」 時刻はお昼どき。仕事に出掛けて行った小人達を見送って白雪姫は一人家の掃除をしていました。 シェイド「ったく…この家アイツらのサイズに合わせて作ってあるからデケェんだよ…掃除だけで半日終わっちまう。しかもディムロスもイクティノスも几帳面だからうるせぇし…」 コンコン シェイド「はーい、誰だー?開いてるから勝手に入っていいぞー」 コングマン「あー、ゴホン。リンゴを売っているのですがお一ついかがですか?」 シェイド「………」 コングマン「………」 シェイド「…そうか。お前も苦労してるんだな…」 コングマン「そのセリフを聞く限りてめぇもそうみたいだな」 シェイド&コングマン「「はあ…」」 その様子を、窓の外から見ていた者達が。 アトワイト「またえらく大きなお婆さんが入って行ったわね…」 フィリア「Σハッ!アトワイトさん、もしかしたら、お婆さんに変装した間男では…!」 アトワイト「Σ白雪姫の貞操の危機だわ!」 動物達は白雪姫の危機を悟って急いで小人達の元へと走りました。 シェイド「何つーの?常識人が圧倒的に不足してるってか、もはや俺らの意思が働いてくんないし」 コングマン「だよなぁ…俺様も今の生活続けてたらハゲちまいそうだぜ…」 シェイド「(待て、お前すでにスキンヘッドじゃん。実はコイツもアウトだったりするのか?)」 コングマン「ところでよぉ白雪姫。俺を助けると思ってこのリンゴ食ってくれねぇか?」 シェイド「嫌に決まってんだろ。毒リンゴじゃんそれ」 コングマン「ストーリーの進行上お前にこれ食って倒れてもらわねぇと困るんだよっ!」 シェイド「Σうわぁっ!近付くな!ムサいッ!(酷)」 バキィッ!! と、そこへ、動物達から白雪姫の危機を知った小人達が帰ってきました。 シャルティエ「白雪姫!」 スタン「って、もう間男倒してるし!?」 シェイド「は?間男?」 ジョニー「動物共がよぉ、お前さんの貞操の危機だっつって、晶術連発しながら俺達をここまで追い立ててきたんだよ」 シェイド「あー、お疲れ。でもかなり誤解だから、それ」 その時、外から軽やかな蹄の音が。 ディムロス「しまった!王子か!」 イクティノス「だが白雪は毒に倒れていないぞ!」 ウッドロウ「かくなる上は…」 がすっ!! シェイド「Σうぐぉっ!何で俺…殴られてばっか…り…?(パタリ)」 スタン&シャルティエ「「Σ白雪姫ッ!?」」 再びみぞおちに鉄拳を叩き込まれた白雪姫はやっぱり気を失ったのでした。 直後、小屋の扉が開き王子様が入ってきます。 リオン「おい、化けたお妃からの毒リンゴを食って死んだというバカな白雪という姫はどこにいる」 ですが王子が見た光景は、床に倒れ伏す白雪姫と女装した大男。 リオン「…何だかよく分からないが、どうも馬鹿馬鹿しそうなので帰らせてもらう」 王子はそのままUターン。結局、目を覚ました白雪姫は小人達の目を盗んでこっそりと逃げ出し、のどかな田舎で人目を忍んで暮らす事にしたそうです。 めでたしめでたし。 オチがねぇッ! [back][next] [戻る] |