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惑星を照らす運命
 
強さと脆さは表裏一体。愛と憎のような裏表。紙一重。強さと引き替えに手に入れるものは脆さを隠し通す為の更なる強さであり、それを消すのは不可能である。
愛する故に憎悪するのも、又是に同じ。
寧ろ、増えてゆくばかり。






「真柴は、あいつは強いな」
「…そう見えるんなら、それでいいよ」
「中沢?」

何気なく呟いた一言に険しく眉を寄せる。不機嫌を顕わに立ち去っていった利央に阿部が首を傾げた。
ただ、いつだって笑っている強さが羨ましかった、それだけなのに。

「なんだあいつ…」





「………」

誰も何も分かってない!
苛々する!
迅は強くなんかない!
ふわふわの、ここら一帯では珍しい金髪を憤怒に揺らしながら歩いていると、突然楼主が声を掛けた。
薬を買ってきてはくれないか、と。

「迅が体調を崩してしまってね」
「…はあ、分かりました。」
「頼むよ。最近、どうも多くてねえ、心配して居るんだよ」
「?」
「迅だよ、よく崩すでしょ?」
「ああ…」

そういえば、そんな気がする。











「治らないのかい?」
「栄養のあるものを食わせたら良いらしい」
「俺等には無理って事か」
「貴族様なら出来るかもなあ、」
「血吐いたら一年も保たないって聞いたけれど」

街を歩いていたら、耳に入るのは流行病のことばかり。
…まさか、ね。
そんなわけないよ。
迅は身体が弱いってそれだけだもん!

しっかりと両の手で抱えた袋がかさりと鳴った。

…でも。
もしそうだったら。
あの人は、どうするのだろう。
迅は、どうなるの?


…………。
何も、失くなるの?


考えるのが嫌になって、走る、走る、息が上がる、止まらない、走る、走る、視界が霞む、滲む、走る、走る、走る。
ひゅう、と喉が鳴って、奥から血の味がした。
楼に帰って、目指す部屋まで一気に走る。途中準太に怒られたがそんなもの目にも留めない。ただ走った。
やっと止まったその奥で、こほ、と恐らく部屋の主の咳か何かが聞こえて。
もう頭なんか真っ白になって思い切り襖を開いた。

「迅!」
「…いきなり何だよ、」

不機嫌そうに自分を見てくる彼に、何ら変わりはなく。
とうに体力の残っていなかった利央はその場に崩れ落ちた。

「迅のっ、ば、かー…」
「はあ?…って、なんでお前泣いてんの」
「何で、もない、しっ…!」
「あっそ。それ薬?」
「そうだ、けど」
「…ありがと…ついでなんだけど、伝言頼んで良い?」
「良い、よ、っ…何?」

「慎吾さんに会ったらさ、もう顔も見たくないって言っておいて」

「………え?」
「頼むよ、」

にっこりと。
ああこれがあの人を掴んで離さない笑顔なのだろうかとぼんやり思いながら。
まるで自分に言われたみたいに心の底から凍り付いていくような感覚に襲われた。









惑星を照らす運命
(神は誰も救わない)






















〜後書き(言い訳)〜

惑星をほし、
運命をさだめ、として
「ホシを照らすサダメ」とお読み下さい…。
続きます。ごめんなさい。
色々説明不足で申し訳ないです。
本家様申し訳ありませ、ん…
力不足が故の荒削り…(努力しろ)

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