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中編
1.きみ消えたんじゃなかったの?


切原赤也…
アイツだけは大っ嫌い!
皆してカッコいいとか、可愛いとか言うけど全然そんなことないんだからっ。

そりゃ最初は私だって、カッコいいなぁと思いましたよ。中身見て、さいてーな奴だってことがわかりましたけど。

あーもう、なんで最初の時って出席番号で座るんだろう。お陰で、私は切原の隣の席だしっ。

畜生、もうちょっと風邪で休めばよかった。とか、そんなこと学校の前まで来て考えるだけ無駄なんだけど。
私がアイツを嫌いになった瞬間は、もうアクシデントとしかいいようのないもので。

本当たまたまなんだけど、ってか、アクシデントとかそんな大袈裟じゃなくて、席に座ろうとしたら、

切原の長い長い足が通路に放り出されていたから、踏まないようにしたつもりだけど、たぶん切原の小指ぐらいを全体重で踏んだんだと思う。


「痛ってぇー!」
「あ、ごめん。踏んだ?」
「くそ、マジ痛いんだけど。」

男のくせに痛い痛いうぜぇなー、じゃ、そんなとこに足放り出してんなよ、収納しとけ、収・納。


「お前、体重何キロあるんだよ!?」
「は?」
「ぜってー、お前重いだろっ。」


なんで、足踏んだだけでここまで言われなきゃいけないのか理解不能。
しかも、大声でとかマジ有り得ない。

これがこいつを嫌いになった瞬間。そして、私は今教室のドアの前にいる。今の私の気持ちを一言で言うと、憂鬱というのが一番あうだろう。

はぁ、と大きなため息をつくと勢いよくドアを開けた。てくてくと、自分の席まで行くと、切原がこちらを見ている。

あー、うっとうしい。
なんだよ、その視線。
マジうざいって。

「あんさぁ、」
「…何?」

たぶん、いやたぶんじゃないな。過去の私がもうちょっとこいつを分かっていたら、こんなことにならなかったかもしれない。

「お前、まだいたんだ?ってか、その前にお前、誰?」
「あ?」

私の中で何か切れる音がした。まぁ、あれですよ。病気が治ったばっかで、しんどかったしね。気分がすぐれなかったしね。ってか、クラス始まって二日目から、休んですいませんー。自己紹介はー、私だけしてないんですよねー。はいっ、すいませんっ。

「ずっと思ってたんだけどさぁー」
「?なんだよ。」
「いい加減黙れよ、このクソワカメ野郎っ!」

きみ消えたんじゃなかったの?

「は?んだと、てめぇ。」
「ワカメ、ワカメワカメワカメワカメワカメワカメワカメっ!」


これ以来、こいつとは腐れ縁。








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