▼切原 『ばいばい』
「…名前、キスしていい?」
「うん、赤也。」
唇が触れるほんの一瞬、名前は少し…本当に少しだけかたくなる。緊張じゃない、俺が…『切原赤也』っていう存在を怖がって、な。
全ては俺の欲を満たすためだけにある。だからなのか。このせつなさとかなしさは。ってか、俺がそうさせたのにどうして俺がそんな感情になるのかは全く不明だけど。
でも、今日誓ったんだ。名前に最後のキスをしたら、もう俺から自由にしてやるって。この唇が離れる時、俺達は…いや、俺の恋は終わる。
リップ音をたてて、唇を離した。
「名前…、」
「…何、赤也?」
「まだ俺より…におうせんぱいがすき?」
名前は目を見開いた。少し黙りこんだ後、「あかやがすきだよ。」と泣きそうな笑顔で言った。その顔を見た時、俺がそんな顔させてるんだって分かっても、名前を手放すことに迷いを感じた。でも、もう決めたことなんだ。そう思って拳に力をいれた。名前は殴られるのかと思ったのか、びくっと体を震わした。これがこの3ヵ月、名前を監禁し、暴力を振るって、犯した結果だ。
「もう殴らねーから、素直に言えよ。仁王先輩が好きなんだろ?」
「……う、ん。」
「そ、っか。いままで…ひどいことしてごめんな。」
「え…っ?」
「って、そんなんじゃゆるされねーけど。」
「…赤也?」
「ほら、ドアがあいてるうちににげろよ。おれのきがかわってもしんねーぞ。」
そう言ったら、名前は少し俺を振り返りながら逃げていった。
そして、俺はお、れは足音を聞きながら、泣いていた。
本当に好きだった。名前名前名前名前っ。これからは好きな人の側で過ごして。
あははっ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ…っ!んなわけあるかよっ!!バーカバーカバァーカっ!マジで今から起こること考えると笑いがとまれねぇーよっ。仁王が生きてる訳ねーだろ、バァーカっ!
ほんでぇ、俺がマジで逃してやると思うのかよー。お前はもうちょっとで死ぬんだよっ。俺が毎日食事や飲み物に混ぜてた蓄積型の毒物がお前が久し振りに走ったりなんかすると、一気に回って、はいっ、即死亡。
俺を選ばなかった罰だぜ、自業自得つぅーやつ?
ばいばい。
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