シスコンじゃないよ、ルルコンよ!
 

真っ白いレースのカーテンが風に揺れる朝方の夢の中

反射光に照らされたルルーシュが生まれたままの姿で立っていて、

僕はたまらずベットに押し倒して彼女の胸にあんな事やこんな事したり――…


「な……何という夢を」


罪悪感に胸は痛んでいるのに――いや、胸を刺激する痛みは罪悪感だけじゃないんだ。
キュンと絞めつけられる様なこの痛みは


……紛れもなく恋愛感情で。


瞳を閉じれば、生々しく浮かぶルルーシュの美しい肢体が

ああ、眩しすぎる、

あの
たわわに実る果実のような胸は
実際はどんな弾力で、
乳輪はどんな大きさなのだろうか…

なんて…、…ん?


「…!?ばっ、馬鹿な!!何を想像してるんだ、僕は!!」


頭を振り乱し、僕はベットに突っ伏した。


だけど

自覚できる程に聖を司る兄としての理性は、すでに性を司る野獣に侵蝕されていて、

煩悩に捕われた僕の魂にはもう、逃げ道も成す術もないのだと、

熱る身体と、びっしょり濡れて冷えたトランクスが現実をつきつけて、悟らせてくる。
「ク…クラスの馬鹿男どもに感化されて僕の頭がエロ呆けしてしまったのかな、ハハ、フフ……はァ」


――他人のせいにしたって、話が好転するわけでもない。


…ゴメンね、ルルーシュ

兄でいられず
ただの男になり下がる自分に
嫌気がさすよ

きっと、僕の気持ち知ったら
ルルーシュは驚くだろうし
困るだろうし
失望させちゃうかもしれない



「……ダメだ、そんなの!」


無理矢理にでも、気持ちを切り替えなきゃ。抑えなきゃ。

僕は濡れた下着をはきかえ、制服に着替えて自室を出た。

足取りは非常に重い。
顔を合わせづら過ぎる、けど

けど、僕は いいお兄さんを演じきらなければいけないのだ!

モタモタしつつ
居間に入るとテーブルにはもう朝食が並んでいてエプロン姿のルルーシュを確認するや否や、僕の心拍数はドーンと飛び上がった。


「おはよう、スザク」

「お、お、おっはよう、ルルーシュ!」

わちゃっ、いきなりリキみ過ぎだろ…!
自分でもビックリするくらい不自然だってば…!

案の定ルルーシュは僕を不思議な表情で見ている。


「……今朝は随分起きてくるのが遅かったな」

「あ、うん、…寝過ごしかけちゃった、あは、あははは」

「…??」



とるに足らない、ただの日常会話に有り得ないくらい緊張してしまった僕の笑いは乾き、動作もカチコチに固い。

だってあんな夢を見て、ルルーシュに申し訳ないやら、恥ずかしいやらで…

とにかく、ルルーシュとまともに顔を合わせる事ができず、僕は朝食をとりながら新聞ばかり見ていた。

だがそう、読めていない。

文字を目で追ってるだけで、内容など少しも頭に入ってこないし


「おい、…新聞、逆さまだぞスザク」

「えっ!あら!?」

「・・・・・」


ルルーシュもいつもと違う僕の雰囲気に、あからさまに首をひねっている。

し、自然に振る舞わなきゃ
頑張れ、僕…!

額にうかんだ汗を拭い、新聞を丁寧に折りたたんでテーブルの端に置き、僕はワカメの味噌汁をすすった。


「……美味し」


じんわり身体に広がる、温もり。
心にも じぃん と響く。


…少し落ち着いた。
「…何かあったのか?」

「どうして?」

「お前、何か変だ」


ちょ、直球だなルルーシュ…

再び崩しそうになったペースを、僕は深呼吸し、必死で立て直す。


「…ああ、変な夢見ちゃって寝不足なんだ」

「なんだ、そんな事か」

「何」

「…いや、思い当たる事がちょっとあって」

「お…思い当たる事?」


な、何だろうルルーシュの
思い当たる事って――


「その右拳の痣」

「えっ、コレ?」


ルルーシュから隠すように僕は青紫に変色した痣のついた右手を左手で覆った。


「…ケンカしたんじゃないのか?」

「いや、あの、コレは…」


ケンカというか、ルルーシュをいやらしい目で中傷した野郎どもに怒りの鉄拳を喰らわせた時に出来た痣であって。

だから、ケンカというか…


…暴れたというか。
一方的な展開だった…。

きっと皆の中で僕のイメージが
『お人好しの枢木くん』から
『シスコンで狂暴な枢木くん』に変わったに違いない。

でも シスコンじゃなくて
ルルコンと判明した。

昨日までは自分でもシスコンだと思ってたけど。

何にしろ、
自分がケンカの原因だなんてルルーシュが知ったら傷つく気がする。


「…あんまり、見ないでよルルーシュ。恥ずかしいから」

「え?」

「おもっきし、壁にぶつけたんだ…こんなになっちゃうなんて」

「………プッ」


キョトンとしていたが、暫くしてルルーシュは吹き出し、笑いながら台所に消えた。

僕はホッと胸を撫で下ろし、朝食をペロリたいらげて、食器を重ねる。

正直、胸がいっぱいで食欲はなかったけど食べなきゃまたルルーシュが心配するからね。


「はい、スザクお弁当」


台所から戻ってきたルルーシュの方に顔を向けるより先に、僕は弁当を受け取ろうと手を伸ばした。


「ありが――、


『ムギュッ』


 と…う……」

「ば、馬鹿!弁当はコッチだ…!」


左手を掴み、僕に弁当を持たせると、ルルーシュは重ねた食器を持ち、慌てるように台所に消える。


ちょ、

 ちょ、
ちょっとォォ!!


い、今、今、ムギュッって
ムギュッて
お、僕の指がルルーシュの胸を

つ、突いちゃったァァ…!!

触っちゃったよォォ!!!

ハァハァ





柔らか…かった






けど



…恥ずかしながら

また僕のアッチは固くなってしまいました。





「ちょ…ちょっとトイレに、行ってくる…」







それが、ゴム毬のような弾力ではなく、プニッとマシュマロのような柔らかい触り心地だった事はここだけの秘密です。


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あきゅろす。
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