19.それは男の夢とロマン
 


朝、起きたらルルーシュとお風呂に入って洗い合いっこして。
それだけでも嬉し楽しいけど――あわよくば叶えて貰おうと僕はもくろんでいた。
それは男のロマンというか!夢というか!!

――興奮しすぎかな。

いやいや、冷静には考えてはいけない。
馬鹿馬鹿しくなるから。


本当に人間の欲なんて、際限がないものだと思う。

きっと皆、次から次へと溢れる欲求を満たしたいと絡め取られそうになりながらも、理性で戦ってるんだろう。
そしてウズウズしながらも己を制する事ができて、それでこそ人間なんだ。

けど僕は遂に、しでかしてしまった。

恋しくて恋しくて仕方なかったとはいえ僕ときたら、性的な欲求に屈して、飲み込まれ妹の純潔を奪って――恥ずかしながら、まるで盛りのついた雄犬みたいです。


でも、ここは開き直らせて貰うよ。


多分ね、男っていうのは馬鹿な生き物なんだ。


重ねて、君が破壊力抜群な女神の様な身体なのがいけない。
清楚で可憐な顔立ちと反した、あのセクシーダイナマイツっぷりは僕の目に毒だ。いや猛毒だ。

そりゃ物理的に可能なんだからって、お願いしたくもなるじゃないか。
加えて、素直に従ってくれないから余計従わせたくなるんだ。



『挟んで下さい』

――何か情けないな。
しかも下出に出過ぎたらNO!ってソッポ向かれること間違いないぞ。

じゃあ、


『挟ませろ!』

――どんなけ横柄なんだ。
キャラ変わり過ぎだし、実は必死なんです的な背景が見え見えで恥ずかしいぞ…

やっぱり、


『挟んで?』

――うん、それでいいか。
いつもの僕らしく、自然体でいこう。

何度もお願いしたら、渋々頷いてくれるはずだ。
だって根底には御互いへの愛がある。
昨夜確かめあったからね。

僕は、強気でいくから…!




葛藤とトキメキの嵐に斬り揉まれながら

浅い眠りの末、愛しい君にやさしく起こされ目覚めた最高の朝
…の筈だった――。





「スザク、もう起きないと遅刻するぞ」

「ん、…――ひうっ!?」

「……なんだ?そんなに固まって」

「ル…ルルーシュぅ…」

「朝一から何でそんな泣きそうな顔してるんだ?夢見悪かったのか?」



頬に水滴がパタリと落ちてきて、目が覚め瞼を開くとルルーシュは濡れた髪をバスタオルで拭き、シャンプーのいい匂いを振り撒きながらベットに腰掛けて、夢が破れた事を知ってガッカリする僕の顔を覗き込みキョトンとする。

だって――、



「だって、一緒にお風呂に入りたかったのに…!何で起こしてくれなかったのっルルーシュ!?」




楽しみ過ぎて寝れなかったくらいな僕を置いて、ひとりで風呂に入ってしまうなんて――…うわあああん酷いよっっ

あの、めくるめく
僕の葛藤は何だったのさー!?

エッチの後で二人で一緒にお風呂に入るのもエッチと、ひとセットだろう!



「はぁ!?一緒に風呂なんか入れるわけないだろ、狭いし。そんな破廉恥な…!」

「破廉恥ってなんだよ、僕とルルーシュは全てを晒け出し繋がった仲――、わブッ」



――全部を話し終わる前に、ルルーシュに枕で思いきり殴られた。



「だから、恥ずかしい事言うなっ!!」

「…君は究極の照れ屋さんだね」

「お前は究極の天然だ…!ふざけてないでシャワーをさっさと浴びて来い!置いて先に学校へ行くぞ!」

「わ、わかったよ」



別にふざけてるワケじゃないんだけど…

まあ、いいや。
楽しみが夜になっただけだよね。
ポジティブに生きなきゃ。



「ヒあッ…!!!!!」



シャワーを浴びようとベットから降りたら、ルルーシュに悲鳴をあげられビクンと震え、僕はその場に立ちすくんだ。
愛らしい顔を真っ赤にして、しかめながら彼女はコチラを睨み頭に巻いていたバスタオルを投げつける。



「あ痛っ」



僕は何が何だか分からず『?』を出しながら、足下に落ち団子になったバスタオルを拾った。

あは、ルルーシュのいい匂いがする〜…


……


――じゃなくて。



「…何、…どうしたの??」

「すっ、素っ裸で歩くんじゃない!お前には羞恥心がないのか!!」

「あるよ、そりゃ…人並みに」

「だったら服を着ろ!隠して歩け、そんなモノ!変態か!」



そんなモノって言われた…



「だって、どうせ風呂に入る時に脱ぐんだから二度手間になるし…僕は別にルルーシュに見られても恥ずかしくないから、」

「か〜く〜せ〜〜!!!!」

「わ、分かったよぉ」



受け取ったバスタオルを腰に巻きつけると、ルルーシュは深いため息をプハーと吐き、抱きしめていた枕を手放す。
その様子にじっとを見とれていると、またキッと睨まれ



「サッサと入って来いったら!」

「ごごごめんなさい〜」



再び枕が飛んで来そうになって、僕は転がるように廊下に出てバスルームに向かった。


――強気で行くんじゃなかったの?


鏡に映ったニヤけた表情を嘲笑し、僕は蛇口を捻って頭からシャワーを浴びる。

だって、さ。



「…ルルーシュがあまりに可愛かったから。真っ赤になって照れちゃって」



…今夜も、抱こうとしたら嫌がるかな。


いや、強気だ強気。
強引なくらいでないと!


…でもルルーシュが、本当に嫌がることはしたくない


けどOKでも口では、絶対イヤだって言うんだもん。
その辺の判断が難しいよなぁ

…身体は正直なのに。
クチュクチュに蜜で濡らして、僕を誘って。

あ、やめよ。
思い出したら朝から分身が元気になりそうだ。


しかし、ルルーシュの言うこと素直に聞いてたら、もう抱けない事態になりうるぞ。

やっぱり基本、強気でいっとこう。





 *





…アグレッシブに行くぞ!



「オイ、何ブツブツ言いながら空を睨んでるんだ?」

「かっカレン…!」



一限目が終わり、休憩時間にはいりルルーシュの元に向かおうと廊下に出た所でカレンに呼び止められ驚いて、何故か僕は背筋をピンと伸ばした。

嫌なヤツに会ったな。

べ、別にコイツに責められるようなやましい事はしてない…はず

だってエッチは愛を確かめあって至った結果のデキゴトなんだもん。
やましくなんか――…


――あ、いや!

僕たちは兄妹だ…!

やっぱり世間一般的には、やましい背徳的な関係だぞ…!


背筋を冷たい汗が伝う。
カレンにバレると面倒だ。
コイツ、ルルーシュの事好きだし。
だから自慢したいけど――いやいやダメだ。
隠さなきゃ…!



「…なんだよ今度はヘラヘラ笑って気持ち悪い」


(――コイツ、本当にムカツク)


「…俺、ルルちゃんの事諦めるから」

「エッ?」

「スザクとルルーシュって、片親も血が繋がってないんだな。シャーリーに聞いた」

「…あ、……うん」

「じゃあ赤の他人」

「そういう言い方やめてよ。僕は妹としてルルーシュを大切にしてきたんだ」

「妹として?」

「ああ」

「それだけなのか?」

「そ、それは――…」

「ルルちゃんを女性として愛してるんだろ?」

「……」

「そしてルルちゃんも、スザクのこと…。…分かってた。でも兄妹なんだから、どんなに好きでもどうしようもないだろ?だから俺にも望みはあると思ってた。けど」

「…けど?」

「望みなんて、少しもなかった…勝てないって。彼女のピンチだからって3階から飛び降りるような男に」

「ああ、あの時は必死だった。僕はルルーシュを一生守り抜くと彼女にも自分にも誓ったから」

「その誓い、破るなよ」

「ああ、カレンに言われなくったって」

「言ってくれるね」

「フフ」

「大切にしろよ」

「うん」

「いやらしい事するなよ」

「うっ!!!?うんっ」

「…なんだ今の反応」




急にくるからボロが出たー!



「何でもない!貴重な休憩時間が終わるじゃないかと焦っている!」





本当はエッチしたことがバレたのではないかと焦っている!

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