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R-18部屋(文章)
LOVER(カイアティ)
覚悟していなかったといえば嘘になる。
彼の誘いに答え、一家の船に乗り込んだ時からこうなる事は予想出来ていた。

そう、予想するべきだったのだ―――





「よぉアティ、風呂上がりか?」
「はい、とても良いお湯でした。どうも有難うございます」
「いや、そんないちいち頭下げなくても良いけどよ」

可愛らしい仕草でぺこりとお辞儀をしたアティに、この船の船長であるカイルは苦笑しながら言う。

「駄目ですっ。人様にお世話になったら、きちんとお礼を言うものですよ」
「はいはい」

全く、『新入り』の彼女ときたらどこまでも真面目なのだ。真面目で、一生懸命で。
まあカイルにしてみれば、そんな所も可愛いと思える要素にしかならないのだが。

そんな訳で、彼はアティの反論を軽く流した。それよりも言いたい事があったからだ。


「……そんな事よりお前、その格好は何だ……」

カイルが指摘した、彼女の格好とは―――


「……えっと……何か?」

どこまでも無邪気なアティに、カイルは大きな溜息をつく。それも無理の無い事で、今の彼女は下着の上に薄手のシャツを一枚羽織っていただけだったのだ。
加えて風呂上がりというだけあって頬は上気し、瞳は潤んでいた(少なくとも、カイルにはそう見えた)。


「アティ、ひとつ言ってもいいか?」
「はい、なんですか?」

人を疑う事を知らないのではないかと思えてしまう程の純粋な笑顔。カイルは思い切り良心が痛んだが、これ以上彼女をこのままにしていたら今度は己の理性が保たない。


「んな格好してるとな……襲われるぞ?
………俺に」
「…きゃうっ!?」

勿体ぶる様に言った直後、カイルはシャツ一枚という姿のアティを勢いよく抱き寄せた。そして、その豊かな身体のラインを確かめるかの様にぎゅっと抱きしめる。


「……カイルさん……っ」


腕の中でアティが身じろぎしたが、カイルは力を緩めようとはしなかった。
こんな機会、二度と無いかもしれない。逃す訳にはいかない。そう心の中で呟き、彼女にそっと声をかける。

「……なあ、アティ。俺、言ったよな?
お前が好きだ、って」
「……は、はい……」

観念したのか、彼女は抵抗らしい抵抗をしなくなった。
カイルの言葉に思いを告げられた夜の事を思い出したのだろう、真っ赤になって俯く。

「好きな女にそんな格好で目の前をうろつかれて、黙っていられる男なんていねぇんだよ」
「……っ…!」

アティの身体がびくりと震えた。カイルが言った事の意味するところは、つまり―――



「……ご、ごめんなさい、私……っ」
「……って訳で、だ」

不安からか小刻みに震えつつ小声で謝るアティに、カイルはそれを遮る様に言葉を続けた。
彼女を抱きしめたままの状態で、その耳元にそっと囁く。


「……俺の部屋に来ないか?」


その言葉に、かあっと頬が熱くなる。だって、それは。
黙り込んでしまったアティに、カイルは苦笑しながらも続けた。

「嫌だったら断っても良い。こんな事、無理強い出来る事じゃねえしな。
―――だけど、これだけは知っておいて欲しい。俺は冗談で言ってる訳じゃねえ……本気だ。

お前を、抱きたい」

彼女を恐がらせない様に、怯えさせない様に。カイルはひとつひとつ、言葉を選びながらゆっくりと話す。


「……って、言ったじゃ、ないですか」

俯いていたアティが不意に呟いた。

「私のことを、さらって行くって。言ったじゃないですか……っ。
なのに、こんな時だけ私の意志に任せるだなんてずるいです。

……私だって……カ、カイルさんの、ことが……っ」

……大好き、なんです。


彼女が最後まで言い終えないうちに、再度カイルはアティを強く抱きしめていた。





カイルに手を引かれるままアティは彼の自室へと入り、その――さすが船長とも言うべき、大きなベッドへと腰かける。

それと同時にカイルは部屋の明かりを落とした。辺りは薄暗く、小窓から差し込む月明かりだけが唯一の光源となっていた。



「……アティ」

低い声で名前を呼ばれ、どくんと胸が高鳴った。これから何が起こるのか、彼女は全く知らない訳では無い。話としては知っているつもりだ。
だがそれでも、初めての出来事に不安になるなという方が無理な話だった。


「……んっ……ふ、ふぁん」

そっと唇が重ねられる。アティはされるがままに受け入れた。
ついばむ様なキスはだんだんと深くなっていき、彼女が息苦しさを感じて口を開いたと同時にカイルの舌が滑り込んで来る。舌を絡められ、強く吸われた。


「……んんっ…‥は、はあっ……ぁ‥…」
「‥…わ、悪い……アティ、大丈夫か?」

唇を解放された途端苦しそうに喘ぐアティに、カイルは思わず声をかけていた。
彼女にはちょっと刺激が強すぎたかも知れない、だがこれからやろうとしている事はそれを遥かに上回るものだ。少しずつ慣れていかなければならない。

そうだ、そういう事にしておこう。カイルは己の行動を正当化する事にした。


一方、アティは既にそれどころでは無かった。大丈夫か、と聞かれた瞬間、言いたい事は沢山あったはずだ。
いきなりびっくりしました、だの、頭の中がじんじんしてます、だの。

だが上手く言葉が出て来なくて、仕方無しに彼女は涙が滲んだ瞳でカイルを見つめ返しただけだった。



「……アティ」

再度、名前を呼ばれた。どうしてだろう、先程までは不安の方が強かったのに。
あのキスの所為だろうか、頭がぼうっとして、身体が火照って。

「……んっ……、カイルさん、だいすき、です……」

潤んだ瞳でぽつりと呟いたアティにカイルは再びキスをして、彼女の豊かな肢体をシーツへと押し倒し、その上に覆いかぶさる。
そして首筋に唇を近付け、舌を這わしていった。

「……や……ぁ、あぅ……」


かすかに漏れるアティの声を聞きながら、そのまま舌で首筋から鎖骨へとなぞっていく。
それと同時に彼女が身に付けていたシャツと下着を外し、その豊かな胸をそっと包み込んだ。


「……っ、ふ……」
「ったく、何してんだよ」

やけに声がくぐもっていると思ったがそれもそのはず、アティは声が出ないように自分の手で口を押さえ、必死に押し殺していたのだ。
カイルはそっとその手を取り、音をたてて細い指先に口付けた。

「……だ、だって、恥ずかしいです、そんな。私、変な声出ちゃいま……やぁん……っ」

口を押さえていた手を外されると同時に胸に与えられた快楽に、アティは思わず甘い声を上げてしまう。

彼のいいようにされてる気がし、なんだか悔しくなって、彼女はちょっとだけカイルを睨みつけてみた。
最も顔が上気し潤んだ瞳でのそれは、全く効果が無いどころかむしろ逆効果なのだが。


「そんな顔するなよ」
「……だ、だって……ぁ、あん…っ、ふぁ……」

胸を優しく揉まれる度に、押さえきれない声が漏れる。

カイルは胸を愛撫していた手を下腹部へと移動させていった。
そして他の誰も触れた事が無いであろう、アティの中心にそっと指を這わす。

「……ゃ、あぁ……」


初めての感覚にアティは戸惑いながらも、確実に快楽に溺れていく。カイルの指が動く度に、自身のそこが濡れていくのが分かってしまうのだ。

どうしようもない羞恥心は相変わらず存在したが、不思議と悪い気はしなかった。大好きなひとだから、カイルだから安心出来る。
――もっと触って欲しいと、思ってしまう。


「……ふぁ、あ、はぁ……」
「……アティ、気持ちいいか?」

息が上がり始めた彼女に、カイルが確認するように尋ねた。
アティは言葉を発する事無く、上気した表情でただこくりと頷く。


「もっと気持ち良くしてやるからな……」

カイルはそう言うと身体を移動させ、今まで指で愛撫していたアティのそこに、そっと口付けた。

「……ひあぁ……!」

既に愛液がとろとろと溢れ出していた彼女の秘所は、カイルの舌の動きに大袈裟な程に反応し、より一層潤っていく。

「……あ、ふぁっ、ぁっ…‥はあぁ…んっ……」


アティは快楽に酔いながらも、どうにかカイルを退けようと試みる。しかし余りの悦さに腕に力が入らず、逆に彼の頭を自身のそこに押しつける様な形になってしまう。

そんな彼女の反応を嬉しく思いながら、カイルはより一層愛撫を強めていった。
溢れ出る蜜をわざと音を立てる様に舐め、すすり上げる。くちゅくちゅと濡れた音が薄暗い部屋に響いていた。


「……はあっ、ぁ、あっ、やぁ……」

限界が近いのか、アティは小刻みに身体を震わせ甘い声を上げ続ける。
カイルが蜜の溢れ出る蕾を舐め上げ、花弁に強く吸い付いた瞬間―――

「……んあっ、ひぅあ、ぁ……やあぁ―――ッ!!」


一層高い声を上げアティは絶頂を迎えていた。
初めて体験する感覚にその身体はびくびくと震え、秘所からは大量の愛液が溢れ出る。強すぎる快楽に一瞬呼吸さえも止まった様で、嬌声は声にならない。

はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す彼女に再び覆いかぶさり、カイルは汗で張りついた赤毛をかきあげて額にそっと口付けた。そして擦れた声で問いかける。

「……アティ、気持ち良かったか?」

これに、ようやく落ち着いて来たらしいアティがゆっくりと口を開いた。

「……カイルさん、ずるいです。私、こういうの初めてで、どうしていいのか分からなかったのに。
すごく恥ずかしくて、身体がすごく熱くて、くちゅくちゅってして、それで―――」

話している途中で恥ずかしくなったらしい。真っ赤な顔をして黙り込んでしまった彼女の言葉をカイルが続ける。

「……でも、気持ち良かったんだろ?」
「……はい……」

アティは今にも消え入りそうな声でぽつりと、それでも彼の言葉を肯定した。


「……すごく……すごく、気持ち良かったです。カイルさんが私に触る度に、身体中が熱くて溶けていっちゃいそうで。
恥ずかしかったけど、はしたないって思われちゃいますけど、良かったんです…だから、」

―――カイルさんにも、気持ち良くなって貰いたいです。

彼女の言葉にカイルは頷くと、自らの服を勢いよく脱ぎ捨てた。服の下から現れた彼自身は既にはち切れんばかりに勃ち上がり、先走りが溢れていた。

「……わ、……大きいです……」

こんな状況だというのに普段と変わらないアティの無垢ぶりに、カイルは何だか居たたまれない気分になる。
が、今更引き返せないと思い直し、彼女にそっと告げた。

「……痛かったら、叫んでもいいから。辛かったら泣いてもいい。
だから、絶対に我慢だけはするな」

アティが頷くと、カイルは彼女の腰を少しだけ持ち上げ、濡れそぼった蕾に自身を充てがった。
無意識に身体に力が入ってしまうアティに「力、抜けって」とカイルが笑いかけ、彼女がそれに従った次の瞬間、

「……っあ、ぁ、ひああぁッ!!」


彼自身が、アティを一気に貫いていた。




「……んぁ、あ……はぁん…」

ぐちゅぐちゅと濡れた音をたて続けるそこは、もはや快楽か痛みなのか分からない程だった。
襲い来る感覚をどうする事も出来ず、アティはただ小さな声で途切れがちに喘ぐ。

カイルは一度最奥まで到達すると一旦動きを止め、アティの頬にそっと口付けた。それに反応し、ゆっくりと目を開いた彼女に問いかける。

「……俺が挿入ってるの、分かるか?」
「……ぁ、はぁ……はい……わ、……ふぁ‥…分かり、ま…‥あぁんッ…」

アティが言葉を発する度にカイルが小刻みに動くのだから堪らない。ちょっとだけ眉をひそめて、彼女はカイルを見返した。

「ん‥…悪い。あんまりお前が可愛いからな」

謝りつつも更に煽る発言をするカイルに、これからの事に備えてかアティがそっと腕を伸ばし、ぴったりと抱きついた。
相変わらず接合部はぬるぬるとした感覚がして、薄暗い部屋には濡れた音が響いている。




「‥…動いてもいいか?」

カイルがそっと問いかけると、アティは腕に少しだけ力を込め、きゅっと縋りついて来た。
それを確認し、彼は抽送を開始する。

「‥…やぁ、んあ‥…あぁッ」


始めのうちは痛々しかったアティの声も、時間が経つにつれどんどんと艶を帯びていった。

「‥…んんっ、はぁ、あ、ぁ……か、カイルさ…‥んあぁっ」

快楽に溺れながらも彼の名を必死に呼ぼうとする彼女に、カイルは動きを止める事無く告げる。

「‥…呼び捨てで良いぜ、アティ‥…」



―――いつだったか、二人が出逢ったばかりの頃。
さん付けは堅苦しいからと自ら呼び捨てで良い、と希望したカイルに、彼女は盛大に舌を噛んでしまった。それはそれで、初々しくてとても可愛らしかったのだが。

今なら、呼んでくれるかもしれない。

「‥…やぁ、んッ…‥カイル…‥っ、あぁん…!」


彼の願い通りに呼び捨てで名を呼んでくれたものの、閉じたままのアティの瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ出した。

「‥…っ、わりぃ‥…やっぱ嫌だったか」

気まずそうに慌てて謝るカイルに、アティはふるふると首を振る。

「‥…ち、違うんですっ…ぁんっ‥…、嬉しいの‥…っ」
「アティ……」
「ふぁ、あッ、……だ、大好きですっ、……カイル…‥ぁあっ」


嬌声と共に途切れ途切れに告げられた言葉に結ばれた喜びを感じ、カイルはより一層動きを速めていった。


「……ぁあッ!ん、ぁ、あぅ!!……やぁ……ッ!」

彼はアティが一番感じる奥のみを執拗に突き上げ、その度に甘い声を上げ涙をこぼしながらもアティは、カイルの動きについていこうと必死に縋りついていく。

「……ひぁ、あ……ッ、はぁ、あうっ、ゃ……!!」

ぐちゅぐちゅと濡れた音が辺りに響き、互いに限界が近い事が分かっていた。

「やっ、ぁ、……あッ、ふ、あああぁッ!!」
「……っ、……」


より一層甲高い声と共にアティの身体が震え、絶頂を迎えたのと。カイルが深く吐息をつき、彼女の胎内に挿入したままの自身から熱を吐き出すのはほぼ同時だった。

「……ひぁ、あ、あぁ……」

どくどくと注ぎ込まれる白濁に、アティは快楽の名残とも言うべき息を吐く。
カイルは全て出し尽くしてからゆっくりと引き抜いた。濡れた音がして、彼女の蕾からは愛液と精液が混ざりあったものがとろとろと溢れていた。



「……ん、カイルさん、お腹があったかいです……」

上気した顔のまま、アティはぽつりと呟いた。たった今熱を注ぎ込まれた自身の下腹部に手を充てながら。
そんな彼女をカイルはそっと抱き寄せていた。先程までの激しさとは打って変わり、まるで壊れ物を扱うかの様に、そっと。


「……無理させちまったな……。身体、大丈夫か?」

カイルの問いかけに、アティは少女の様にふるふると首を振った。小さな声で、私なら大丈夫です、と呟く。

「……無理なんてしてません……私、嬉しいんです。
初めての人がカイルさんで、本当に良かったです」


頬を染めながら穏やかに笑う彼女に、カイルが安堵の息をついた瞬間、

「……おいっ!?」

アティはネジの切れた人形の様に、かくんと意識を失った。思わずカイルは声を荒げたが、彼の慌てぶりとは対照的に彼女の穏やかな寝息が聞こえて来て、がっくりと肩を落とす。

「……驚かせるなよ……全く…」

やはり初めての体験は身体への負担が大きかったのだろう。
他人に心配をかけたがらない、彼女らしいといえばらしいのだが。



「……どこまでも無理しやがって」

こら、とカイルはアティの柔らかな頬を指でつつく。
ほんの一瞬顔をしかめたものの、無意識に彼の方へとすり寄って来る彼女に気を良くしたカイルは、アティを自らの腕の中へと抱き寄せ、そっと口付けた。


「……これで……俺はお前のものだからな、アティ?」




願わくば、彼女が二度と傷付く事の無いように、泣かなくても済むように。
カイルの好きな笑顔を、絶やさぬ様に。


「絶対に手放さねえ……
この先何があっても、俺がお前を護ってやる」


愛らしい寝顔を晒しているアティに、カイルは誓いを込めて再度口付けを落とした。




END.

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あきゅろす。
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