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independent action:3 side Thatch
マルコがオヤジの用事で数日船を空ける事になった。
早朝、夜が明けると共に出かけた不死鳥を見送って、朝飯を作り終わったらマルコの代わりに菜真絵ちゃんを起こしに行こうと思っていた。
なのに―――――。
朝、たまたまイゾウが菜真絵ちゃんとマルコの部屋の前を通ったら菜真絵ちゃんが唸っていたらしく、イゾウの話では菜真絵ちゃんは風邪を引いたらしい。
マルコ不在の今、第一発見者で一番無難だということでイゾウが菜真絵ちゃんの面倒を見る事になった。
エースと俺とハルタは騒がしいからダメで、ジョズやビスタ、他の隊長達は、女だけの部屋に入るのに抵抗があったり、看病なんてどうしたらいいんだ?という奴らもいて、結局適任はイゾウなんだと。
(俺だってそういうところのTPOは弁えるっつーの!)
確かに、汗をかいた菜真絵ちゃんの着替えの手伝いとか期待しねぇわけでも無いけどよ。
それにしても、ガードが固てぇ……。
マルコが出かけて3日。
あいつが居なくて菜真絵ちゃんも寂しいだろうと、仕事の手が空いては部屋に見に行くが、イゾウが扉の所に陣取ってて全く部屋に入れようとしねぇ。
「サッチ隊長…ちゃんと仕事してくださいよ……。」
「今は何を言っても無駄だろ。サッチ隊長、菜真絵の事で頭いっぱいいっぱいだから…。」
「煩いよ、お前ら。俺は今、イゾウの牙城をどう崩そうか考え中なんだ!」
「菜真絵はイゾウ隊長に任せておけば大丈夫ですって!それより早く今夜のメニュー決めて下さいよ!」
食堂で座って作戦を考えていれば、横からやんややんやと煩いコックたち。
「あ〜…じゃあ、今夜はカレー。」
「それは昨日も作りましたよ!」
「じゃあ、海軍より美味いカレー。」
「ったく、この人は……。カレーじゃ菜真絵が食べれませんよ?」
「菜真絵ちゃんの飯は俺がしっかり栄養を考えて作るから大丈夫だ!」
「同じくらい一生懸命クルーの飯も考えてください!」
「じゃあ……、ハヤシライス!もうこれ以上の異論は認めねぇぞ!」
俺がきっぱりと言えば、コックたちはやれやれという態でキッチンへ向かって行った。
(おっ!そろそろイゾウのほとぼりが冷めたかな?)
俺は今日も一度も菜真絵ちゃんの姿を見ていないため、イゾウに追い返されては一時間ごとにマルコの部屋を訪れていた。
それはエースも同じだったらしく、マルコの部屋の扉の前でイゾウとエースが問答をしているのが見えて来た。
「なぁ!菜真絵は大丈夫なのか?」
「今は寝てるから静かにしろ。エース。」
「じゃあ、静かにしてるから一目見せてくれよ。」
「お前が入ったらやっと寝た菜真絵が起きちまうかもしれないだろ。菜真絵の事が心配なら、この部屋に近づかないで大人しくしてろ。」
びしっ!っとイゾウに言われて、シュンと項垂れるエース。
「イゾウ、菜真絵ちゃんの様子はどうだ?」
俺はエースに加勢するためにイゾウに話しかけた。
「サッチもまた来たのかい。二人とも余程暇のようだねぇ。」
イゾウから若干黒いオーラが見え隠れするが、マルコのオーラに慣れている俺はここで退くような男じゃねぇ!
「なぁ、菜真絵ちゃん本当にただの風邪だよな?風邪なら他のヤツにうつした方が早く治るって言うしよ、俺を中に入れて俺にうつさせりゃいいじゃねぇか。」
「そりゃ無理だねぇ、サッチ。ああ、エースも。何てったって『バカは風邪引かない』からねぇ。」
ニヤッっと口角を上げるイゾウ。
「俺をエースと一緒にすんじゃねぇよ。」
「俺だって女の尻ばっかり追いかけてる奴よりは頭いいぞ!」
「何だと!エース!!」
「やんのかサッチ!」
俺とエースが向かい合ってファイティングポーズをとった途端、こめかみに付きつけられるひんやりとした固い感触。
エースのこめかみにも鈍色の同じものが突きつけられている。
「……お前ら、俺が3つ数える前にさっさと消えな。ここには病人が寝ているんだってこと忘れるバカ共に、菜真絵を会わせるわけにはいかないねぇ。」
マルコよりもドス黒い、混沌としたオーラを放ちながら引金に手を掛けるイゾウ。
「いーち、にーぃ、…」
「「お邪魔しましたぁ!!」」
俺とエースは脱兎の如く廊下を走り抜け、甲板に出る。
「はぁ、はぁ、はぁ………、イゾウ怖ぇ……。」
「はぁ、はぁ、はぁ………、マルコより黒いオーラなんて初めて見たぜ……。」
俺とエースは菜真絵が良くなるまで、お互い大人しくして居ようと誓った。
(マルコ〜〜!早く帰って来〜〜〜い!!)
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月猫様
リクエストありがとうございました!
『死神は突然に』でマルコとヒロインが出かけ、イゾウが偽装をした時をサッチ視点で。というリクでしたが、如何でしたでしょうか?
ちなみに、この時のモビーのメニューはシチュー→カレー→ハヤシライス→ビーフシチュー→カレーと煮込み料理が続いたと思われます。
気に入って頂けると幸いです。
瑛冬
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