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マルコ×連載ヒロイン 誤解と我慢**
女の子の日が終わって一週間。

――――――何も無い。

本当に何も無い。
いつもマルコは女の子の日が終わると気を使って一日二日は我慢してくれるのだけれど、それでも軽いキスをしたり、手を繋いだり、触れ合わない事は無い。

なのに今回は、おはようのキスもずっとしないし、手さえ触れて来ない。
夜も仕事をしているらしく、手伝うと言っても断られ、
終わるのを待ってると言っても先に寝てろと言われ、渋々寝れば、翌朝はマルコの方が先に起きて既に部屋に居ない。
寝てる形跡はあるのだけれど、いつもと違って私が寝ている位置からは離れた所のシーツが乱れている。

マルコを怒らせた覚えも無いし、マルコは怒ってると言うよりはそっけない。…避けられてるといった感じだ。

(……私に飽きちゃった…とか?)



食事も一緒に摂る事は無くて、マルコはいつも先に済ましてしまっている。
なので、今食堂に居るのは私とサッチとエース。
今日のお昼ご飯はサッチ特製の海鮮パエリアにスパニッシュ風オムレツ、ガスパチョ、デザートはオレンジのプリンと、向こうのスペイン料理みたいなメニューだ。
どれも本当に美味しくて、いつもなら食べ過ぎるほどに食べてしまう料理なのだけれど、今日は食が進まない。

「菜真絵ちゃん、どうした?どこか具合が悪いのか?」

私のスプーンが動かない事に気付いたサッチが心配そうに見ている。

「え?…ああ、何でもないよ。大丈夫。サッチの料理は今日も美味しいし。」

「その割には皿から減ってねぇみたいだけど?」

もくもくと食べていたエースの頭が揺れた瞬間、私はエースのお皿を引き、話を続ける。

「そんなことは無いよ?サッチの作ったパエリア大好きだし!」

エースのお皿は山盛りなので、斜め前に座るサッチから私の手元は死角になる。
なので咀嚼しながら、お皿の上のまだ手を付けてない部分の料理をこっそりとエースのお皿に移した。

(お行儀悪くてごめん…。)

「それより、最近マルコって仕事忙しいのかな?」

「あ?菜真絵ちゃん、マルコから何も訊いてねぇの?」

「何?何かあるの?マルコ、私には何も言ってくれなくて…。手伝うって言っても断られちゃうし。」

「あ〜…、そっか。まぁ、菜真絵ちゃんが気にするほどの事でもねぇから、安心してろよ。な?」

マルコの仕事内容は知ってる様子のサッチだったけれど、私に話してくれる気は無いみたいだ。
マルコに最近避けられてることも相談したかったけれど、もしかしたら今までべったりだったのが普通じゃなくて、今の状態が普通なのだろうかとも思い、相談できなかった。

(嫌われたんじゃないといいな…。)



昼食が終わり、部屋に戻ってもマルコは居なくて。
どこで仕事をしているのか気になって、甲板や倉庫などを探していたら、廊下の角を曲がった先でナースさんと楽しそうに談笑するマルコを見掛けた。
久しぶりに笑っているマルコを見掛け、咄嗟に隠れてしまい、出て行くタイミングを逃す。

まるで盗み聞きしているような形になってしまった気まずさがあったけれど、話までは聞こえず、楽しそうな嬉しそうな笑い声だけが聞こえ漏れてきた。

(……マルコの笑い声、久しぶりだな…。)

一緒に居るナースさんはとても優しくて、私とも仲良くしてくれて、色々心配してくれたり、美人ですごくいい人だ。

桃ちゃんと乱菊さんを足したみたいな優しくてカッコイイ人……。美人だし、サッチがずっと前に言ってたマルコの好みにぴったり当てはまる。

(はは……そういうことか…な?)


ある想いに辿り着いた私はその場にいる事が居た堪れなくなって、そっと踵を返した。



『人の心は移ろい易い』とはよく聞く。


私は自分から愛情表現をする事は苦手だから、つい、マルコからしてくれることに甘え、全然返せてなかった。

だからと言って、今から愛情表現をするにしても、一度離れてしまった心を戻すなんて、マルコにウザがられ、“好きじゃない”ではなく、嫌われてしまうのが怖くてできない。

それじゃあ、この先はどうする?と考えれば、マルコと話せば別れを切り出されるのはそう遠くないろう。
そうなった時、私は大人しく別れ、普通の“家族”としてやっていけるだろうか?


私がこっちに飛ばされて来てからずっと一緒に居てくれたマルコ。マルコが居てくれたから白ひげ海賊団にも入れて貰えたし、家族にして貰えた。サッチやエース、隊長さんたちとも仲良くなれたし、こちらの世界で路頭に迷う事もなく生きる事が出来た。


答が出ないまま夜になり、夕食の時間もマルコの姿は無く、部屋に戻っても居なかった。

もう気持ちも無い女が自分のベッドに寝てるのは嫌だろうと思い、シャワーだけ借りて自分の部屋へ戻る。



戻った部屋は確かに自分の部屋なのに、全然落ち着かなくて。
人の温かみを感じないその部屋を見ると、本当に自分の生活の中心がマルコの部屋になっていたのだと、改めて思い知らされた。

喪失感と無力感、後悔に襲われ、鬼道を使う気にもなれず、窓際に置いてあった簡易机で今日は寝ようと、椅子に座って机の上に置いた腕を枕に寝ることにした。







「菜真絵…?こんな所で寝てると風邪引くよい。」

「ん……マルコ?」


まだ寝ぼけたまま顔を上げれば、スッっとマルコに抱き上げられた。

「部屋に戻ったら菜真絵が居なくて焦ったよい。どうしてこんな所で寝てるんだい?」

抱き上げられたことで、マルコの素肌からじかに伝わってくるマルコの体温。
その久しぶりの温かさに、泣いてはダメだと思っても涙が溢れこぼれ、頬を伝う。

「菜真絵!?どうしたよい?怖い夢でも見たのかい?」

「ちがっ……ごめ……っ……。」

拭っても拭っても止まらず、言葉が詰まって離せない。

足早にマルコの部屋へ連れて行かれ、マルコは私を抱き上げたままベッドへ座り、私はマルコの膝の上に座る形になる。

「菜真絵、落ち着けよい。何かあったのかよい?」

背中を擦りながら優しく聞いて来るマルコに、もう嫌われても仕方がないと思い、ずっと寂しかった事、昼間のナースさんとのやり取りを見てしまった事、マルコがそのナースさんを好きになってしまったのかどうかなど一気に捲し立てて聞いた。





「……………………………バカだよい。」

「は?」

「はぁ〜〜〜〜〜…、菜真絵は本当にバカだよい。」

「痛っ!?」

ペシッ!と額を弾かれ、手で痛む額を抑えながら見上げれば、呆れた顔のマルコ。

「ずっと忙しくしてたのは悪かったよい。でも、俺が他の女を何だって?」

ジロッっと見下ろしてくる瞳は、本気で怒っているらしく怖い。

「じゃあ、あのナースさんは?」

「菜真絵も知ってるナースだろい?俺はこれの作り方を教わってたんだよい。」

そう言って差し出してきたのは蒼と黄色のクリスタルで出来た不死鳥の根付け。

「明日はホワイトデーだろい?菜真絵に宝飾品を送ろうと思っても、オヤジのマークの入ったやつを外す気は無いだろい?だから、俺が向こうに行った時に菜真絵に貰ったオヤジの人形のように、財布でもベルトでも好きな所に付けられるものを作ってみたんだよい。」


もう一度「バカだよい」と呟き、ため息を吐くマルコ。

「それじゃあ、忙しかったのって……。」

「こういう細かい作業が慣れなくて、菜真絵に内緒で作るにはここで出来ないだろい?だからサッチの部屋借りて作ってたんだい。夜は菜真絵が寝てからやってたんだよい。」

カッコ悪ぃからここまで話す気は無かったんだけどねい
。と恥ずかしさを誤魔化すように苦笑いした。

「その、全然触れたりキスしたりしなかったのは…?」

「よい?……ああ、菜真絵に触れたら、我慢して作業を続ける自信が無かったからだよい。ただでさえ一週間お預け喰らってたんだから、一度菜真絵に触れてしまえば自分を抑えられるはず無いだろい?」

(“無いだろい?”って言われても……。)

「それにしても、菜真絵がそんな誤解をして、泣くほど寂しがるとは思わなかったよい。俺は自分で思ってるよりも菜真絵に愛されてるねい?」

ニヤッっと口角を上げたと思ったら、ベッドに押し倒され、貪るようにキスをされた。
その獣の様な獰猛なキスに私の息はすぐに上がり、いきなりの事に驚き強張っていた身体の力は抜けて行く。

「んんっ……ぁ……ま、待って…っ…」

「2週間も待った挙句、とんでもねぇ誤解された事が分かったら待てるわけねぇよい。」

キスの間もマルコの手は器用に私の身体を這いまわり、私が来ていた服は既に剥ぎ取られ、部屋の彼方に飛んで行った。

久しぶりに伝わってくるマルコの体温に、マルコに触られた所が次々と熱を持ち、敏感に反応していく。

「菜真絵は言葉よりも身体の方が素直で正直だよい。ほら、ここも軽く撫でただけで固く尖り、触ってくれ、舐めて吸ってくれって主張してるよい。」

言うなり胸の先端に舌を這わせ、焦らすように周りを舐めてから吸い上げ、もう片方は指先で弾いたり引っかいたり重点的に攻めて来るマルコ。

「んあっ……やっ…、…そんなにしたら……」

「そんなにしたら、なんだよい?」

食まれたまま話され、その振動でまた刺激される。

舌で玩んでいる方の胸に添えられていた手が身体を這って下りて行き、私の敏感な所を弄(まさぐ)り始めた。

「もう濡れてるよい?こっちも硬くなって触ってくれって言ってるねい?」

マルコが私の敏感な所ばかり責める時は、マルコも余裕が無いってことだ。
そんなに私を欲しがってくれてるんだと分かり、自分から少し足を開けば、それに気付いたマルコが態勢を変え、私の足を持ち上げた。そして、態と私からも秘部が見えるようにし、そこに顔を埋めた。

「マルコ!?ヤだっ…この態勢、恥ずかしいよっ!んんっ!?」

「イヤっていう割にここは溢れて、中は締めつけて来るねい?」

ニヤっっと笑って、まるで私に見せつけるように舌を動かすマルコ。



見ているのが恥ずかしくて目を閉じれば、背中にマルコの熱いのが当たっているのが感じられた。

自分の愛情表現が少なかったと反省したばかりだったので、手を伸ばして触ってみる。

「菜真絵?」

マルコは熱くて硬く、ゆるゆると手を動かしてみれば、ドクドクと脈打ち、まるで別の生き物のように息づく。

私がした事に触発されたのか、先ほどよりもマルコの手と舌の動きが激しくなり、敏感な部分を親指の腹でこねくり回したり、熱い舌で中まで舐めたり吸ったりしてから指と舌の位置を変え、中を広げる様にマルコの指が器用に動かされた。

「菜真絵は今日はどうしたんだい?随分積極的だねい?」

「あっ…んっ……ふっ…、いつも…してもら…ってばかりだからっ…んんっ…。」

「そんなこと気にしなくていいよい。前に菜真絵が頑張ってくれた所為で俺が暴走したの覚えてるだろい?だから、菜真絵は急に頑張らなくていいんだよい。」

空いている方の手で、私の髪を優しく撫でるマルコ。

「でもっ…!私もマルコの事愛してるから…ちゃんと伝えたい…んぁ……」

「ちゃんと伝わってるよい。」

私の足をベッドに下ろし、マルコ自身を宛がいながら私に覆い被さってくる。そして目を合わせられれば、綺麗な蒼い瞳がすぐ傍にあった。

「俺も菜真絵を愛してるよい。菜真絵しかいないよい。…もう菜真絵が誤解する暇が無いくらい伝え続けるよいっ!」

「ああっ!?」

一気に奥まで突き入れられたそれに、快感が腰から脳天まで突き抜ける。
久しぶりに入ってきたそれの存在感はとてつもなく、痛くは無いけれどどうしていいのか分からなくなった。

「マルコっ……大きっ……んんっ…!」

「ごめんよい。久しぶりの菜真絵の中が気持ち好過ぎて自制が利かないんだよい。」

そう言って腰を廻すマルコに中の隅々まで攻められる。

「んぁあっ!?」

抑えていた声が不意の攻めに大きな声が出てしまった。

「もっと声聴かせろよい?」

「やぁんんっ…待っ…結界……」

今更だけれど結界を張ってない事に気付きマルコに訴える。

「たまには聞かせてやれ、よいっ!」

「ダメっんん…ぁんっ……」

一度引き抜いたそれをまた一気に突き入れられ、必死で声を抑える。

「ククッ…いつまでそうしていられるか愉しみだよい。」

ニヤリと悪い笑みを浮かべて動き始め、マルコに開発され、熟知している私のイイ所を的確に次々と攻めていく。

「いじわるぅ…んんっ…はっ…ぅんっ…」

「強情な菜真絵も可愛いよい。もっと可愛がっていぢめて鳴かせてやりたくなるよい…んっ…。そんなに締めつけるなよい。」

暴走したら責任とってくれよい?と耳元で囁き、動きを速めた。

「ぁあっ…やっ…んっ…あっ…イっちゃ…ぅ…」

「何度でもイけよい…っ…。」

私の腰を掴んで固定し、動きを一気に速め私の中の一点を断続的に攻めるマルコ。

「やっ!…ダメっ……んっんんーーーーっ!!」

「―――――っ!!」

イった瞬間に身体の奥に熱いものを感じる。




「…はぁ、はぁ、…愛してるよい、菜真絵…。」

「ん……私も、愛してる…よ……。…んんっ!?」

マルコに満たされて意識が飛びそうになった時、胎内のものの質量が増す。

「たった一回で寝れると思ってたのかい?夜は長いよい、菜真絵。」

ちゅっ、ちゅっっと額や瞼にキスが降って来て、まだまだ終わりが来ない事を私に知らされる。







2回目からは辛うじて残っていた私の理性も飛び、マルコにされるまま鳴き、喘ぎ、求め、愛した。





<おまけ>

「菜真絵ちゃんよかったな!仲直りできて。マルコと喧嘩してたんだろ?」

「え?」

「いや〜、昨日は久しぶりに菜真絵ちゃんのあんな声聞かされて、サッチお兄ちゃん困ったぜ。」

「ええっ!?」

「俺も……眠れなかった……。」

「だよな〜、エース。お前も健全な男の子だもんな〜!」

「イヤ〜〜〜!!!!マルコのバカーーーー!!!」

「よいよい。」



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さっぴ様

リクエストありがとうございます!
切甘でR-18というご希望でしたが、連載ヒロインで書いてみました。ちゃんと切甘になっているのか不安ですが、気に入って頂けたら幸いです。


瑛冬



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