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マルコ×恋人部下ヒロイン 後悔先に立たず
「マルコ隊長!無事接岸も済みましたし、1番隊は仕事の割り振りも無かったので、後は自由行動で構わないんですよね?」

二週間ぶりに島に着き、接岸作業を終え、我が隊の隊長であるマルコ隊長に報告する。

「『マルコ』。二人の時はそう呼ぶように決めただろい?はぁ……、ああ、解散で構わないよい。只し、羽目を外し過ぎねぇように釘を刺しておけよい。」

(マルコ隊長…マルコさん…恋人になっても呼び捨てなんて無理…!)

「はい。それじゃあ、私も…」

「菜真絵は俺の仕事が終わるまで待ってろよい。エースのバカが今頃書類出して来やがった。」

1時間もかからねぇからよいと言うマルコ隊長だが、大概エース隊長の書類処理は1時間以上掛かる。

なので、はっきり「待っている」と返事をせずに甲板へ行き、マルコ隊長の指示を1番隊のクルーに伝えた。島へ一緒に行くかと誘われたので、迷ったものの治安は悪くないということだったので、少しくらい良いかと行くことにした。

―――――――――


「へへっ、気が付いたか?お前が不死鳥マルコの女だろ?」

気が付くと、薄暗い納家のような場所で、手は後ろで拘束され両足も縄で括られていた。

(……そうだ。ちょっと店先の小物が気になったからみんなから離れて、その時いきなり首に手刀が…。)

「俺はてめぇに恨みは無ぇが、不死鳥マルコには俺の船を沈められた恨みがあんだよ!だから、無惨な姿になったてめぇを見た、ヤツの歪んだ顔が見てぇんだっ、よっ!」

―――ガッ!

「ッ!…………かはっ…。」

言うや否や、鳩尾辺りを蹴り飛ばされ、息が詰まる。

蹲っていれば、襟首を掴まれ、今度は顔を殴られた。

「…………ぐぁっ………うぅっ…。」

地面に頭を打ち付け、意識が朦朧としてくる。頭を上げれば、切ったらしく、目に血が入り視界が赤くなった。殴られた頬はズキズキと熱を持ち、口の中も切れたらしく、血の味が広がる。

(マルコさん…言うこと聞かなくて…ごめんなさい…。)

ナイフを取り出したらしい男は下卑た笑いを浮かべながら近づいてきた。

顔をナイフで撫でられ、…切られるっ!と目を瞑った時、

―――――男が吹っ飛んだ気配がした。

「菜真絵っ!」

「マルコ…さん?」

ガラガラと板が降る音と、日の光が射し込んできたことから、マルコさんが屋根を蹴破って入って来たのだと分かった。

「もう大丈夫だよい。少し待ってられるかい?」

ゆっくりと男に近づいて行ったマルコは、既に気を失っている男をまた蹴り飛ばし、男は扉を突き破って外へ飛ばされる。

納家の外には男の仲間達が居たらしく、エース隊長とサッチ隊長が一掃しているのが見えた。

「菜真絵ちゃん、大丈夫だったか?」

「後片付けは俺達に任せて、マルコは菜真絵をモビーへ連れてけよ。」

それだけ聴こえた後、安心したように私の意識はぷつりと途絶えた。


――――――――――



目を覚ますとそこは見慣れたモビーの医務室で、船医による一様の問診が済んだ後、マルコさんが入って来た。

「菜真絵、大丈夫かい?」

傍にあった椅子に座りながら話すマルコさん。

「お前を襲った男は、半年前に潰した人身売買をしていた海賊船の船長だったよい。その時指揮を執っていた俺への逆恨みだったらしいよい。……菜真絵、巻き込んじまってすまなかったない。」

悔しそうな、哀しそうな、後悔を滲ませる表情。

(あの男が見たいと言っていた顔をさせてしまった……。)

「私の方こそごめんなさい。…勝手に先に島に下りてしまって……。」

「俺もそれは焦ったよい。俺を待ってる筈のお前が街で拐われたと、部下の奴が血相を変えて来たからねい。」

怪我の具合がよくなったら、たっぷりとお仕置きだよいと、ニヤリ悪い顔をして笑ったマルコさんに、拉致られた時よりも戦慄が走った。

怪我が治るまでも充分にお仕置きだと思える事をされた。
肋骨にひびが入ったと診断された私は、暫くの間安静を言い渡され、マルコさんによって部屋を無理やりマルコさんの部屋へ移動させられた。
部屋では、マルコさんが仕事をする中、ただそれを見ているしかなく、食事はマルコさんに食べさせられ、お風呂も禁止されたために毎日マルコさんに拭いて貰っている。自分で拭けるところは自分で拭くと言っても、「ダメだよい」の一言で、明るい部屋の中で身体の隅々まで拭かれるのは、居た堪れないどころの話ではなかった。


(もう二度と一人で島に降りたりしないから誰か助けて!)

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アトガキ

さっぴ様
リクエストありがとうございました。
『恋人部下ヒロインがマルコに助けられる切甘』
というリクでしたが、気に入っていただけたでしょうか?あまり切なくも、甘くもなくてすみません。

書き始めたら中編くらいの長さになってしまい、頑張ってまとめたつもりなんですが、ぐだぐだしてしまいました。

これからも精進致しますので、今後もよろしくお願いします。

瑛冬


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