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マルコ×連載ヒロイン オヤジ様グッズ
ある日の甲板で。

「なぁ、菜真絵。あのマルコが持ってるオヤジとモビーの人形って、お前がやったんだろ?」

「うん。ストラップね。」

「あれ、俺にも作ってくれよ!オヤジの人形、俺も欲しい!」

キラキラした瞳で作ってくれと強請(ねだ)るエース。

「う〜ん…。あれは私が居たところで売ってたものだから、作れない。ごめんね?」

謝ると、シュン…っとあからさまに犬耳が垂れた(ように見えた)。

「……同じものは作れないけど、ぬいぐるみとかビーズの根付けなら作れるかも。それでよかったら作るけど?」

言った途端に、ガシッと両肩をを掴まれ、これでもかというくらい首を縦に振るエース。私にはブンブンとものすごい速さで振られる尻尾が見えた気がした。




それから――――。

試しに掌大のぬいぐるみと白ひげマークのビーズ根付けを作ったら、エースが大喜びして船中を自慢して廻っていた。

次の日、甲板の掃除をしていたらクルーに、俺にも作ってくれと頼まれ、それに便乗して次々に俺も、俺もと頼まれた。一度型紙も作ってあるため、量産は難しくないので快諾する。
ナースさん達にはそれより少し大きめのぬいぐるみを頼まれた。

ぬいぐるみや根付け、他にも刺繍をしたタオル、ビーズのピンズなど色々作って、気に入ったものを持ってって貰う為に食堂に広げると、あっという間に無くなっていった。クルーはみんな、お菓子や原石などお礼だと言って、引き換えにいろんなものをくれた。

(一つ残らず全部捌けてよかった。)





――――よかったんだけど、甲板や船内から野太い悲鳴が聞こえる。

何事かと思って見に行こうとした矢先、サッチが血相を変え、私の作った刺繍入りのスカーフを大事そうに握り締めながら食堂に入って来た。

「マ、マルコがご乱心だ!」

ゼェハァと息をつきながら焦った様子のサッチ。


話を詳しく聞いてみると、私が作ったオヤジ様グッズをクルーから奪い廻っているらしい。マルコは私が手作りというのと、オヤジ様というのが気に入らないらしく、素直に渡さないクルーには実力行使しているのだとサッチが教えてくれた。

(オヤジ様のグッズを、素人の私なんかが作ったのが気に入らないのかな…。)

騒ぎの元へ急いでみれば、甲板でちょうどマルコとエースが闘っていた。

「エース!大人しくそれを寄越せよい!」

「嫌だ!菜真絵が俺のために作ってくれたんだ!」

ガシッバシッと肉弾戦を繰り広げる二人。グッズを取られたらしいクルーはエースを、理由が分かってないクルーはマルコを応援して囃し立てていた。

私はどうやったら止められるか考え、結局、こう叫ぶ。

「海炎!」

水の炎が収まると二人とも潰れた蛙のように甲板にへばりついていたので、マルコを回収して部屋へ戻った。

部屋へ着くと、テーブルの上に私が作ったグッズの数々。

「マルコ?」

「……………よい。」

私が何を訊きたいのか分かっているらしいマルコは目を合わせようとしない。

「はぁ、そんなに素人の私がオヤジ様のグッズを作るのが気に入らなかった?」

「違うよい!」

そうじゃねぇよい!と焦ったように否定する。

「……菜真絵が作ったものを他の奴が持ってるのが気に入らねぇんだよい。それも、オヤジのをよい…。」

菜真絵が作ったオヤジグッズなんて俺にとったら金銀財宝より価値があるよい!なんて力説されて、喜んでいいやら、呆れていいやら…。

とにかく、マルコにもオヤジ様グッズを作る約束をして、他のはみんなに返すということで収拾をつけた。
ナースさん達のぬいぐるみは怒らすと怖いので、奪うのは諦めたそうだ。


後で、ジョズさんがこっそりダイヤを持ってきて、これでオヤジのグッズ作ってくれと言われた時は驚いたけど…。


(みんなオヤジ様大好きなんだなぁ。)

ちなみにマルコには、ナースさんたちに頼まれたのと同じ、むぎゅっとできるくらいの大きさのオヤジ様のぬいぐるみをあげたら、専用の椅子を置いて座らせてある。
私の知らないところで、むぎゅっとしてるかどうかは詮索しないことにした。



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曄浬様

リクエストありがとうございました!
連載ヒロインでオヤジ様グッズをマルコが奪うということでしたが、気に入っていただけたら幸いです。

書いている途中に、エースが服に穴をあけてヒロインがそこにオヤジ様のアップリケをつけてあげる、なんて番外も浮かんで楽しかったです。

これからも精進致しますので、今後もよろしくお願いします。

瑛冬

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