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Baby Phoenix Another Story
The Day 8-2
「マルちゃん、白ひげさんとモビーで待っててね?」

「やぁよい!」

「すぐ戻って来るから。」

「マルもいくよいっ!」



あの後、マルコが白ひげさんに話しに行くのに同行し、モビーにお世話になっている恩を少しでも返せればとマルコ達の海賊船潰しに随行することにした。

――――なのだけれど、



『子供は大人が考えている以上に大人の話を聞いて理解している』



キィさんに聞いた言葉がここまでだと思わなかった。



一緒に白ひげさんの部屋に来て大人しくしていたマルちゃんが、難しい言葉で話していた白ひげさんと私達の会話をしっかりと理解し、私が行く事まで察知するとは思わなかった。

なので、私がマルちゃんに「待ってて」と言う前に脚にシッカ!としがみつかれてしまい、今は説得に苦慮している処だ。


「マルちゃん。」

「やぁよい!」

「…………………。」

「マル!男なら惚れた女の我が儘は許すもんだぞ?」

「我が儘って…サッチ。」



マルちゃんと目線を合わせるようにしゃがんだサッチを半眼で見れば、ニッ!と笑って「任せろ!」と言うようにパチンとウインクを投げ掛けられた。


「……わがまま…よい?」

「ああ!海の男ならドンと構えてるのも大事だぜ?何かあったとしてもオヤジの慌てた姿なんか見たことねぇだろ?」

「ないよい!」

「お前の目標は?」

「オヤジよいっ!」


私にしがみついていた両手をパッ!っと離し、万歳して宣言するマルちゃん。


「菜真絵、いってらっしゃいよい!おまえ!菜真絵まもるよいっ!」

「うるせぇよい。んなもん言われなくても分かってらい!」


マルコをビシッ!と指差して命令するマルちゃんと、それを睥睨するマルコ。
それを眺めながら白ひげさんは「グラララ」と優しく笑い、エースはお腹を抱えて爆笑し、サッチはマルコに蹴られる位置に居たため笑いが吹き出した口を抑えて俯き、肩を揺らしていた。



――――――――



「菜真絵〜!いってらっしゃいよ〜い!マル、いいこしてるよ〜い!」


甲板で白ひげさんの腕に乗せられたマルちゃんや白ひげさん、他のクルーの皆さんに見送られて、サッチとエースはストライカーでモビー前方の船へ、私は死神化して不死鳥になったマルコと一緒に後方の船へ向かった。







見えてきた船はモビーディック号の四分の一くらいの大きさで、モビーが桁違いに大きいためあまり大きな船には見えないけれども、海賊船としては大きな方だった。



まずは手筈通り不死鳥が上空から船の帆に向かって突っ込み、帆を破る。
すると夜襲に備えて甲板で大砲や弾薬の準備をしていた海賊達が慌て出し、その混乱に乗じて私は前甲板に降り立った。


「賞金5720万ベリーの…誰だっけ?。……う〜ん、フツー。」


頭あの中に入っていた賞金首の手配書と照らし合わせたけれど、よくある顔過ぎて名前が思い出せない。


「何者だ!お前?」

「あの綺麗な蒼い不死鳥知らない?」

「っ!?情報が漏れたのか!!」

「冥土の土産にイイモノ見れたね?」


(この世界に冥土があるのか知らないけど!)


空を旋回する不死鳥に海賊達が気を取られている隙に次々と斬り倒し、海へ落としていく。

マルコが空から陽動として動いてくれたため、瞬歩を使わなくても楽に倒す事が出来た。



(腕はちょろいけど、重火器いっぱい持ってるなぁ。)




「菜真絵、お疲れよい。怪我は無いかい?」

「マルコも陽動お疲れ様!私は大丈夫だけど、マルコは大砲とか銃弾とか当たらなかった?」

「俺を誰だと思ってるんだよい?んな間抜けな男じゃねぇよい。」


私の頬に付いていたらしい返り血を親指で拭ってくれてから、電伝虫でサッチ達とモビーへ連絡を入れたマルコ。


まさかこの火消し行動が自分に火の粉が掛かる原因になるとは、この時は思いもしなかった。


(やっぱり同じ不死鳥でも、マルコのは雄大で優雅でカッコイイなぁ。マルちゃんは可愛いけど。)







「菜真絵!おかえりよ〜い!けがしてないよい?」

「ただいま!マルちゃん。怪我してないし、ちゃんとマルコが守ってくれたよ?」

「むぅっ…マルも菜真絵まもるおとこになるよいっ!きょうはおまえ、よくやったよい!」

「うるせぇよい。ガキが生意気だよい。」

「マル、ガキじゃないよいっ!」

「マルコ…自分を“ガキ”って…。ふふっ!」

「菜真絵、笑うなよい!」

「菜真絵におこるのメッ!よいっ!」

「あははっ!マルちゃんありがと〜!大好き!」

「マルも菜真絵だぁいすきよ〜いっ!」

「(チッ……。)」





「ププッ!今はマルコに近付かねぇ方が無難だな。」

「んじゃ、真っ直ぐオヤジに報告しようぜ!触らぬマルコに〜ってやつだろ?ニシシッ!」



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