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Baby Phoenix Another Story
The Day 10
モビーディック号10日目。


島からモビーへマルちゃんの荷物を運んだ時、マルちゃんの荷造りはエースが手伝ってくれたため、結構雑多に箱に詰められていた。
なので、すぐに使う服などから暇を見てクローゼットに仕舞い始めていたのだけれど、やっと終わりが見えてきた時、箱の底から一つの白い封筒を見つけた―――。




「菜真絵、今は一人かい?何処へ行くんだい?」

「ああ、マルコ。マルちゃんは今、エースと甲板に居るはずだよ?私は、これ。白ひげさんに届けようと思って。」


廊下で会ったマルコの目の前で封筒をヒラヒラさせる。


「んふふっ、見覚えない?」

「封筒ねい?……まさか!?」


態と意地悪く微笑んで見せると、サーッと一気に顔を青くしたマルコ。
封筒を奪おうと素早く伸びてきた手を間一髪で躱し、走ってマルコから逃げ始めた。


「菜真絵!待てよいっ!」


私の手の中にあるのは、マルちゃんが字を覚えて初めて白ひげさんへ書いた手紙。
私が必ず届けるとマルちゃんと約束したものだった。


(マルコ、覚えてたんだぁ…。なんか、嬉しいな。)


廊下を抜けて白ひげさんの部屋の前まで行くと、いつの間に先回りしていたのか、マルコがドアの前で仁王立ちになって居たため、踵を返して甲板へと走る。


「菜真絵!逃がさねぇよい!」




白ひげさんやマルコ、サッチ、エース、隊長さん達が心を砕いてくれているおかげで、思った以上に早く白ひげ海賊団の人達と打ち解けることが出来ているため、マルコと追いかけっこしていても、皆笑って見ているし、「菜真絵、頑張れ〜!」なんて声も掛けてくれる。



マルコに嫌われたと思ったのも早とちりかもしれないと思えてきていた。



「菜真絵ちゃんどうした〜?マルコに何かされたのか〜?」


後甲板を走り抜け上甲板まで行くと、野菜の育ち具合を見ていたサッチに声を掛けられた。


「何もないよ〜!サッチ、暇ならマルコを足留めして!」

「お、おうっ!」


上甲板から階段を使わず、手摺を飛び越えて前甲板へと下りると、見物していたクルーから「ピュ〜!」っと口笛の喚声が入った。



「菜真絵、元気だね!マルコに何かやっちゃったの?」

「何もしてないですよ、ハルタくん。ただ、マルちゃんの手紙を白ひげさんへ届けるところなんです。」

「ああ〜、そういうこと!なら、ボクも足留め手伝ってあげる!」


前甲板でジョズさんと居たハルタくんが全てを察したようにニコッ!っと笑って二刀流の剣を構えると、ジョズさんも無言でサッチを躱して追ってきたマルコの前へ立ちはだかってくれた。



「お前ら邪魔だよい!」

「え〜?だって、面白そうなんだもん。ボクの相手もしてよ、マルコ。」


そんな会話を背中で聞きながら船首へ向かうと、寝ているエースに落書きしているマルちゃんの姿が見えた。


「マルちゃん、おいで〜!」

「っ!!菜真絵よ〜い!」


一瞬、怒られるのかとビクッ!としたマルちゃんは、私に怒気が無いと分かるとすぐに両手を広げて私へ向かって来た。


その姿に可愛いと思いつつ、抱き上げてマルコが来る前に白ひげさんの部屋へと急いだ。




――――――――



「オヤジ、おてがみよ〜い!マル、菜真絵にじ(字)おそわったよい!」


「グラララ!お前ェが俺に書いたのかァ?」

「かいたよい!よんでほしいよい!」



手紙に書いてあったことは3つ。


『オヤジだいすきよい!』

『マルつよいうみのおとこになってオヤジのためにがんばるよい!』

『菜真絵およめさんにするよい!ぜったいよい!』





後日、白ひげさんはマルちゃんからの手紙を大層気に入ったらしく、部屋の分かりやすい所へ貼られた手紙を眺めながらお酒を飲んでいるらしい。
そして、その手紙を目にした隊長さん達は大笑いし、マルコだけでなく、内容を知らなかった私も暫く恥ずかしい思いをすることになった。



(なんであんな事を書くかな?マルちゃん…。)


「ああ〜…、破り捨てたいよい。でも今はもうオヤジの物だよい…。」



二人して項垂れ、サッチ達が爆笑したのは言うまでもない。



「??――マル、いいことかいたよい!」



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