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しゅせさまから(文)
Encounter of fate





男は怖い。気持ち悪いとずっとずっと思ってた。
だって、そう思うのにはきちんとした理由がある。

今でも忘れはしない小学校3年生のときだった。

インドアよりもアウトドア派だったアタシは、あの頃、女子と教室や家で遊ぶより、
断然男子たちと外で遊ぶほうが楽しかった。
だから、毎日毎日学校が終わってから男友達とサッカーやドッヂボールする。
そんなことばかりだから、周りの女の子たちからはあんあまり好かれていなかったけど。

その日も放課後にサッカーに混ぜてもらって、いっぱい動いてから帰路につく。
いつもなら一緒に遊んでいた奴らとワイワイいいながら帰るのだが、その日は違かった。

5時になると帰る時間をお知らせするチャイムが鳴る。
それを聞きながら、いつもの通り帰る準備をした。
周りの女の子たちはランドセルだけじゃなくて、可愛らしいバッグなんかも持ってきているけど、
そんなのに無関心だから、持ち物はかなり少ない。
男子たちの中にいても1番最初に帰る準備ができた。

「はやく帰ろうってば」
「あぁ?ナルト、お前なんでそんなにはやく準備できるんだよ?」
「お前らが時間かかりすぎ!!」

地べたに座り込んでちんたらしている奴らに文句を言うが、急いでくれる気配はない。
今日は両親が仕事で遅くなるから、帰りが遅くなっても怒る人はいないが、
そんな日に暗くなってから帰ると寂しさが増す。
そうならないために、はやく家に帰りたいのだ。
今は日が長くなってきたし、5時をちょっと過ぎたくらいでは暗くないが、
そろそろ帰らないと家に着いたときには暗くなるだろう。





「てか、ナルト。今日は先に帰れよ」
「?なんでだってば?」
「えー?」
「あー・・・」

いきなり言われた言葉に疑問を返せば、一緒にいた男子たちが「あー・・・」とか「うー・・・」と気まずそうにしている。
その様子が何だか変で、思わず顔をしかめてしまった。

「はっきり言えってばよ!!男らしくねぇっ」
「だってなぁ・・・?」
「あぁ」

それでも歯切れ悪く答えるので段々と腹が立ってきた。
自分に何かを隠していることは分かる。
だが、その内容を自分以外のみんなが知っているのが嫌だった。
いつも一緒に騒いでる仲間のくせして、なんで今日に限ってそんなことを言うのか。

また文句を言おうとしたナルトだが、それよりも先に口を開くものがいた。

「これから俺の家でビデオ見るんだよ、だけどナルトは駄目なー」
「っ何でだってば!!」

仲間はずれにされているのが嫌で食って掛かるが、そいつはにやにやしてナルトの反応を楽しんでいるようだった。

「だって、お前女なんだもん」
「そんなの、関係あんのかよっ」

言われた理由に納得できないでいると、周りの奴らは困ったような、それでいてどこか楽しんでいるような表情をする。
「ナルトも一応女だしなー」「まじで、“一応”だけどな!」といって、みんなが自分を拒んでいるのはわかった。

それがとてつもなく面白くない。
今まで女・男なんて関係なしに一緒に遊んできたというのに、いきなり自分が女だからといって仲間はずれにされるなんて。





ナルトは面白くなくて、「もういいってば!!お前らなんか、もう知らないってばよぉぉぉ!!
明日あやまっても許さないからなぁぁぁ」と吼えながら走り去った。

そのまま学校の校庭からでて、家へと向かう。
準備が終わった後も、いつまでも話していたからもう周りは暗くなり始めていた。

いつも外で動きやすいようにと、ショートパンツをはいている。
最近では母・クシナが「このホットパンツ可愛いってばね!!」といって、
かなり丈の短いものばかり買ってくるので、ナルトはそればかりをはいていた。

日が暮れてからだと、短いズボンから出ている部分が冷える。
すこし肌寒くなって、急ぎ足になった。
帰るのが遅くなったせいで、いつもよりも暗い周囲に、ナルトも何だか不安になってくる。
「寒くて鳥肌たったってばぁ」と気を紛らわすために呟くと、はやく家に帰るために近道を通ることにした。

その通り道は帰路にある神社の裏にある。
神様を祀っているたてものの裏には、こっそりと細い道が作られていた。
そこはもともと道があったわけではないが、学校から帰ってはやく遊びたい小学生たちが何回も通ってできたのだ。

神社の裏ということもあり、薄暗くてじめじめしている。
これは、普通に表を歩いているよりも怖い気がした。

(やっぱりこんなところ、通るんじゃなかったてばよぉぉぉ!!)

内心、涙ながらに足をせかせかと動かす。
もともと暗かった周囲は、、場所のせいでさらに暗くなっている。
こんなところに長くいたくない。
一分一秒でもはやく通り抜けたくて、ナルトは不安定な道を突き進んだ。

だが、雑草が生えた裏道を歩いていると、自分の後ろからもかさかさと音が聞こえてきている気がする。
背中がぞわりとした。





(ま、間違いだってば。アタシの勘違いに決まってるってば!!
お化けなんかいない、お化けなんかいない、お化けなんていない!!)

そう、自分の勘違いかもしれないし、たまたま自分のたてた足音かもしれない。
もしそうなら、怖がることはないのだから。
後ろを振り向けば一発で確認できるだろうが、それはそれで怖い。
もし、振り向いてそこに何かがあったのなら―・・・
そう考えると、背筋がぶるりと震える。

心臓がバクバクと鳴っていった。背中には冷や汗が流れる。
神社のうらで肌にまとわりつくじめじめした空気が、さらに不気味さを増徴させていた。

怖くて、足はどんどんとはやさを増す。
少しの教科書と筆箱しか入っていないランドセルががたがたいう。
かさかさと鳴っている草の音が自分のものか、そうでないものかも分からなかった。
はやくこの道を出なければ。

(なんで、この道こんなに長いの!!もうやだってば!!)

涙が浮かんできて、視界がぼんやりとしてくる。
怖い怖い怖い!!!
心臓が早鐘をうつ。バクバクと鳴っている音にさらにせかされて、ナルトはスピードを上げようとした。

だが。
気持ちとは裏腹に、足はこれ以上はやく動かなかった。
それどころが、空回りして不安定な道に転がっている小石に躓いてしまった。
がくんと、視界が揺れる。
倒れるのを感じて反射で手を前に出したが、ずざざっと大きな音をたてて転んだ。

(痛い、でもっ・・・!!)

立ち止まってしまったら、自分の足音も止んだ。
だが、後ろからはまだかさかさと音がする。それも段々と近づいてくるのが分かる。
立ち上がらなければと思うが、怖くて身体が動かなかった。





かさかさという音の後ろに、地面をける音も聞こえてくる。
どうやら自分の後ろに誰かがいたのは間違いではなかったらしい!!
近づいてくる音に、強く目を閉じた。

(きた――――・・・!!)

恐怖に震え、動かないナルトの近くまで来ると、その音は止まる。
そして、何かが屈む気配がした。

「ねぇ、大丈夫?」
「っ・・・・・・」

話しかけられて、息を呑む。

(これってお化け?幽霊なの?怖い―・・・!!)

「怪我してない?立てる?」
「・・・だ、大丈夫・・・」

あんまりにもしつこく聞いてくるから返事をしてしまった。どうやらその気配から人間のように感じる。
それでも直接顔を見ることは怖くてできなかった。
人だということはなんとなくわかったけど、それでも暗い状況の中で、知らない人と一緒にいるというのは怖いのだ。
はやくこの場から立ち去りたくて、この道を抜けたくて。
顔を見ないように、痛む傷を我慢して立ち上がろうとする。

「無理しないで」

顔を見れないから、どんな様子かは分からないがとりあえず、怪我をしている自分が起き上がるのを手伝ってくれるらしい。
声は聞いた感じ、若い男の人のようだ。

震える手で痛む身体を起こそうとしているナルトに手を触れる。

「そんなに怖がらないで?立てるかい?」
「・・・うん」





「そんなに怖がらないで?立てるかい?」
「・・・うん」

(怖がらないでって、この人怖くない人?)

起き上がろうとしているナルトの手を引いて、上に持ち上げてくれる。
そのとき、強く打ち付けた膝からピリリと痛みが広がった。

「っいた」
「怪我をしたのかい?どこだい?」

思わず口にしてしまったナルトの言葉に反応すると、そのまま掴んでいた手の片方だけを離して、ナルトの膝へと手を伸ばす。
痛みを感じるところに触れられて、なるとの肩はビクリと震えた。

「い、痛いってば!!」
「痛いのかい?ここ?」

男はナルトの手を掴む腕に力を込める。
そしてもう一方の手で、皮膚がむけて血に濡れているナルトの膝を強く押してきた。
その瞬間、ナルトの身体には真っ赤な痛みが走る。

「―っっ!!」
「あぁ、大丈夫かい?」

あまりの痛みに声が出ないままのどが震える。
だが男は傷口から手を離すことはない。それどころがぐりぐりと抉るように押してくる。

痛みに我慢しきれなくなり、かといって声が出てくることはなくて、ナルトは抑えられていない手で男の胸を叩いた。

(痛いってば!!なんでこんなことするの!こ、怖いってば・・・!)

「痛いじゃないか、ナルト。大人しくして」

(な、名前っ!!あ、アタシのこと知ってる人?だけど、アタシはこんな奴知らないってば!)





男はナルトを押さえつけるために傷口から手をはなして、自分の胸を叩いている手を掴む。
自分の手に触れた男の手はぬるりとしていて、それが自分の血だと気が付いたナルトは背筋が凍った。

身体の強張りは増す。
全身が石になったように動かなくなり、呼吸も苦しくなってきた。
心臓だけが恐怖ゆえにバクバクと鳴り響く。

「そう、いいこだね。そのまま大人しくしてないと、また痛いことするからね」
「っ」
「暴れたら、許さないよ」

そうナルトを脅すと、片方の手を放して自分のズボンのポケットに入れると、ハンカチを取り出した。
そのハンカチでナルトの両手を縛り上げる。
ナルトが震えていると、その耳元で「いいこにしてたら、後からはずしてあげるね」と囁いた。

声が出ずにろくに抵抗できないナルトをいいことに、男の手はナルトの身体をまさぐる。

抱きかかえるように身体を包まれて、その体形の違いにナルトは慄いた。
こんなに身体に差があれば、自分の抵抗なんて微々たるものだろう。
この状況から逃れるために抵抗を試みていたナルトは愕然とする。

男はホットパンツから伸びている、ナルトの白い足に触れた。
太ももから上に向かっていき、それがズボンの丈ギリギリのところをなでた。
さわさわとなでられる感覚にナルトはざわりとする。

そして、そのまま男の手はナルトの臀部に移動する。
揉むような手の動きが気持ち悪く、ナルトは吐き気がこみ上げてきた。

男の「はぁはぁ」という荒い息が耳をかすめた。

(嫌だ―・!気持ち悪いってばよ!!)





気持ち悪さにビクリと肩を揺らしたナルトの反応を勘違いしたのか、男は機嫌よさそうに囁いた。

「もうずっと前からナルトに触りたいと思っていたんだ」

ナルトは僕のことに気が付いていてくれたかな?
いつも男の子たちと遊んでいるところをみててね、僕もナルトと遊びたかったんだ。
こうやってナルトに触れることえお毎日想像してたんだよ。
今日だってこんなに脚を出して、これは僕のためにはいてくれたんだよね。
すごく似合ってるよ。
ナルトの脚は白くてきれいだから、あのガキどもも見惚れてたんだ。
サッカーしてるのをいいことに、僕のナルトの脚に触りやがって。いつかぶっ殺してやる。
あぁ、ナルト。可愛いね、最高だ。
ずっとずっと大好きだったんだ。今日やっと僕のものになってくれるんだね。

男のイカレタ発言にナルトは背筋を凍らせた。

ずっと狙われていたのだ。
そして、今日とうとうこの男に捕まってしまった。
これから自分がどうされるのか、全く予測がつかない。
はやく逃げないと、と思うが身体は強張って動いてくれない。

男の手が前に回って、胸に触れそうになったとき、近くからガサリと音がした。

その音に男の手がぴたりと止まる。
「だ、だれだ!!」
悪いことをしている意識はあるのか、怯えた様子で暗闇に向かって叫ぶ。

動揺している今ならどうにかなるかもしれない!と思うが、両手は縛られているし身体は抱え込まれて身動きが取れなかった。

「そんなところでなにやってるんだ」

そのとき、少年の声が聞こえてきた。
まだまだ低くなれていない声に男もここに来てしまった人物が少年であることに気が付き、入っていた力が抜けた。





「お子様は家に帰りな・・・」
「てめぇは何してんのかってきいてるんだ」

暗い闇の中にいる少年の姿は、暗闇に目が慣れていたから気が付くことができたが、
そうでなかったら気が付かないほどに黒かった。

ナルトは震えていうことを聞かないなどをしかって声を出そうとする。
出てきた声は小さくて、かすれていて聞き取りづらかったが、その勇気ある少年はナルトの「たすけて」という言葉を拾ったらしい。

「どうやら合意じゃねぇみたいだな。そもそもそんな年の奴に何やってんだよ」
「うううるさい!!お前には関係ないだろう!!」
「問答無用!!」

少年はこちらに向かってかけてくると、持っていた何かで男のことを殴りつけた。
パシンっと、乾いた音が周囲に響き渡る。
男は「うっ」と呻くとずるずるとしゃがみこんだ。

あまりにも衝撃的な展開にナルトはついて行けず固まっていると、男をのしてくれた少年が近づいてきた。

「いつまでもこんなところにいるな、さっさと家に帰るんだな」

そういいながら男に縛られていた両腕を開放してくれた。

「あ、ありがとう・・・」
のどは未だに強張っていて、出てきた言葉はかすれていた。
気配で、その少年が顔をしかめたのが分かる。

「お前、そんなカッコでこういう道通るんじゃねぇよ」
「こ、こんなことあったのは初めてだってばよ!」

少年の言葉に思わず反論してしまい、「あ、」と思ったときには少年はこの道を出るべく歩き出していた。
ナルトはその少年のあとに続く。





裏道を出たとき、その少年の姿を街頭が照らしていた。

暗闇の中では見つけられないほどに、黒々とした髪と同色の瞳。
着ているのはナルトには無縁のような、紺色の胴衣だった。
男を殴りつけたらしいそれは、明るいところで見れば剣道の竹刀である。

自分を助け出してくれたその少年をまじまじと見た。

(カッコいいってば―・・・)

端正な顔と、クールな態度。
先ほどまで気持ち悪い男に触られていたからこそ、少年のそれが際立つ。

「ウスラトンカチ、さっさと家に帰れ。またさっきみたいなのが出るぞ」

少年の言葉にナルトの肩が揺れる。
だが、

「あ、あの、助けてくれてありがとうだってば。す、すごく助かったし、本当に怖くて動けなかったから、それで・・・」

感謝を述べようとするが、上手く自分の言いたいことがまとまらない。
少年の顔をうかがうようにみてみれば、少年は無表情でこちらを見ていた。

「お前・・・もっと気をつけたほうがいい。多分、これからもああいう奴がでてくる」
「そ!!それは嫌だってばよ!」
「もう、あんな道通るなよ、今日はたまたま助けられたけど、次は分からないし・・・」
「う、うん。気をつける」

少年を見るのははじめてだった。
多分、この辺に住んでいる子ではないのだろう。
だけど、今日彼がここにきてくれて自分は助けられた。
まるで、目の前にいる彼は王子様みたいだ。

周りの女の子たちが男子に向かってキャーキャーいっていることが理解できなかったが、
こういう人がいたら自分も絶対にそうなるだろうとおもう。

遠くから「サスケー帰るわよー」という女性の声が聞こえてきた。
その声に、目の前の少年が反応する。

「じゃぁ、俺帰るから。これからは気をつけろよウスラトンカチ」
「え、もう行くの?」
「お前も早く帰れよ」

少年は踵を返す寸ででナルトの額をはじく。そして母親らしい女性の元へと駆けていってしまった。

それを見届けて、ナルトは今デコピンされたことに気が付く。
「ウスラトンカチってどーゆー意味だってば・・・」というナルトの呟きが彼に届くことはなかった。








END
2012/5/1
−−−−−
しゅせさまから『In an emergency』の裏設定いただきましたあああああああああああ!!!

ナルトが怪我したシーンは痛くて身が捩れる思いがしたし、襲われるシーンのモブの気持ち悪さは一品でした……!

誉めて、ますよ!?!!w

最後においしいところ持ってくあたり……サスケェ!
そいえばIn an emergencyのサスケはナルトがこのときの女の子だって気づいてるのかな(^o^三^o^)?

最初気づかないで後から思いだすパターンが私は好きです(何の話だ)

このような超!大!作!^o^!!!をいただき、もうなんていうか……言葉もありません//////

しゅせさん、本当に本当にありがとうございましたああああああああ!!!!!



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