赤色の魔法(学パロ)
忘れ物を取りに教室に入ると、誰かが机につっぷして寝ていた。
なぜ…と思ったが、そんなことより早く忘れ物を持って帰ろうと机の中を見た。すると、どうだろう明らかに自分の私物と違うではないか。
よくよく考えて見ると、今日席替えをしたばかりだということを思い出した。少しばかり恥ずかしい気持ちになって、新しくなった自分の席を探すと、まさか。ヤツが寝ている席ではないか。
なんてことだと思いつつ、ウスラトンカチなソイツを改めて見ると、髪は透けるような金髪で、窓から差し込むまだ沈みきらない太陽に照らされていた。
しばらく見とれていたが、このままでは困る。なんとか隙間から取り出せないだろうかと席の脇にしゃがんで、中に手を突っ込んでみた。
中の様子を覗きつつ目的の物を手にすると若干の安堵をおぼえた。しかしながら、ソイツは何を気取ったかもぞりと動き出して、今まで潰していた顔をこちらに向けてきた。
急激に近づいた顔にどぎまぎしつつ、睫毛も金色をしていることを発見し、もとの色も金なんだな、とか思った。そして、うっすら開いた唇からは寝息が仄かに聴こえてきて、呑気に寝てるなよ、とツッコミたくなった。
まだ残っていた太陽は沈みかけ、無色だった光が赤色だけを残して消えていく。
だから、ソイツの顔も赤く染まってみえて。それが、綺麗だなんて。美しいだなんて。口づけて、みたいだなんて、そんな。
でもココ、オレの席だし。
オレの席にあるってことはオレのモノだし。
間違って使っちゃうかもしれないし。
それに第一、オレの席で寝てるのが悪い。
衝動ってすごい。散々言い訳してから、オレは腹をくくり、その赤く赤く染まった唇に
優しく
優しく
触れたんだ。
continue...
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