焼けつく(悲恋)
『良かったじゃん。』
こんなにも胸が苦しいのは何故だろう。
『仲良くしろってばよ。』
別に、オレには関係ないはずなのに。むしろ、喜ばしい事実なはずなのに。
『オメデトウ。』
こんなにも、こんなにも、サビシイと思うなんて。なんでだってば。そんなこと、あるはずない。あり得ない。
『…じゃあ笑えよな。』
なのに、涙が、次から次へと溢れ出て、止まらなくて。
おかしいな。おかしいってばよ。
今まで隣にいることが当たり前過ぎて、気づかずにいた。本当は、本当は、こんなにも依存していたなんて。
知らなかった。
オレ、コイツのこと好きなんだなって分かった途端、
『別にお前との関係が切れるわけじゃない。』
自分は決して、コイツの一番の存在にはなれやしないんだなって自覚してしまった。
気づいてしまった。
もう、どれだけアイツと一緒に居ても、どれだけアイツの近くにいても、一番にはなれないと。
突きつけられた現実。
生ぬるいお湯に浸かっていた事実。
もう二度と親しいヤツなんかつくれない。つくりたくない。
けどきっと、忘れてしまうんだ。
焼けつくような、この熱情。
「ウソツキ。」
でもきっと、その時は、一番の親友でありたいと願う。
窓辺に置いた写真立てが日に焼けてしまった。
fin.
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