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夕方の公園から
キィ、と小さな音を立ててブランコが揺れた。日が赤く染まり始め、公園には我が子を迎えにやって来る親であふれかえっていた。

「つまんないってばよ……。」

ひとり取り残されたナルトの言葉を聞いてくれる友達はもういなくて、手を繋いで帰る背中が眩しかった。

涙なんてもう枯れて出ない。沈む夕日が目に染みただけだった。

「――えいッ。」

いつもならうまく着地できるはずなのに、今日は地面が弛くて、こけた。ズチャりと情けない音がする。勢いをつけて飛び降りたブランコはカシャンカシャンと音を立てて、そのうち止まった。転んだとき手についた砂利が痛い。

「大丈夫かよ。」

もう誰もいないはずの公園で聞こえた声。夕日を背にして立つソイツの顔は、影になってよく見えなかったのだけど、誰だかはすぐにわかった。

もちろん、差し出された手は無視して。助けてもらう義理はねぇ!立ち上がり、そうして、手だけ払って立ち去ろうと一歩踏み出した。

「――ッ。」

思わずギュッと目を瞑ってしまった。こけた時に打ちつけた膝がツンと痛んだ。血が滲んでいるのが分かった。

「……バカじゃねぇの。」

聞こえてきたのは、はぁという嘆息と足の膝の泥を落とされる感覚。やけにその声が響いて聞こえて、やけにその感覚が敏感に感じられて。それが、何故だか胸を強く波たたせた。

「ほら、歩けるか。」

だから、何も言えずに大人しく片腕を肩に担がれて、一緒になって歩いてしまって。

触れられたヶ所がなんだか熱かった。



日に染められた頬は、ほんのり赤かった。
















fin.

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