どうしよう、可愛いすぎる
――リドルside――
最近、僕に愛しいと言える子が出来た。
―――勿論、セイラだ。
第一印象は、小さくてまだ10にも満たないような、幼い子供。礼儀正しくて、魔力が半端なく強い。使い道がありそうだと思った。
だけど実際は、13歳で、礼儀正しいのは演技みたいなもの。男かと思ったら女だし、オマケにかなりドジ。
それから…とても綺麗な心を持っている。
そんなところに引かれて、僕は世話係というものになった。
一緒に過ごす時間は楽しく、あっという間に過ぎていく。
ルシウスやヴォルとも仲が良いらしく、あの2人が来ると嬉しそうな顔をする。
セイラの嬉しそうな顔を見ると、こっちまで嬉しくなるから不思議だ。
僕は"ヴォルの記憶"という存在で実態が無いため、自分の部屋はなんてものは無い。
セイラが僕の日記を管理してくれて、僕はほぼ一日中セイラの部屋で一緒に過ごしている。
それで気付いた事がある。
セイラはどうやら、アニメーガスに興味があるらしい。アニメーガスの本ばかり読んでいる。
本を読んでいる最中は、周りの声が殆ど聞こえないらしく、名前を呼んでもなかなか気付かない。
特に深い理由は無いと思うけど、僕がアニメーガスの本の事をするとぎくりと肩を揺らすか、曖昧な返事で返してくる。
まだ………、信用されて無いのかと、不安になってしまう。
直接訪ねれば良い話だが、それで気まずくなったりするのだけは嫌だ。
だから、何も言えずにいる。いつか、話してくれれば良いと願って………。
「リドルー?」
「セイラ…、」
「……どうかしたのか?」
「え…?」
「リドル、元気無いぞ。具合でも悪いのか?」
「……ふふっ、大丈夫だよ」
微笑んでくしゃりと頭を撫でれば、セイラは少し頬を赤く染めて照れ臭そうに俯いた。
いつもこうだ。
人の事ばかり考えて行動するセイラは、相手の僅かな変化にすぐに気付いて心配したり、元気づけようとする。本当に、優しい子。
「なにか用でもあったの?」
「おう!あのさ、暇だし一緒にチェスでもやらないか?
今日はルッシーもヴォルも出掛けちゃったから、リドルしかいないんだよ」
「良いよ。でも、僕チェス強いよ?」
「………俺初心者なんで、お手柔らかにお願いします…」
「あははは、早くやろうよ」
"スルーされた…"とか呟きながら、セイラはチェスの準備をする。
時々ポーンやナイトの置き場所を間違えて慌てて直すとこを見ると、正直癒される。
セイラがチェスの準備をしている間に、僕はお茶の準備をする。
記憶の僕が杖を持っている筈も無く、面倒だがマグル式でお茶を淹れる。
因みに、ついこの間の家族設定の話しをしていた時に忘却術を掛けようとしてた杖は、ルシウスから借りてた杖だ。
「はい、」
「お、ありがと!ルッシーのお茶が1番好きだけど、リドルのお茶も好きだな」
セイラは"勿論、ヴォルのお茶も凄い美味しいぜ"と楽しそうに笑いながら、お茶菓子として用意したクッキーを頬張る。
チェスの順番は、僕かららしい。最初からチェックメイト狙いでは無く、周りの駒から取れるように考えて、駒を進める。
どう進めたら勝てるかと、真剣にチェス盤を見るセイラがなんだか微笑ましい。
どうしよう、可愛いすぎる
(なんだか、本当に妹が出来たみたい)
(あー、もう可愛いなぁ!!)
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