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清らかなる少女の唄声
なんの歌が良いか少し悩んだけど、前に自分で考えた歌を歌うことにした。歌詞が今の心境に、ぴったりだから。

ふぅと息を吐いて、まっすぐ前を見据えた。ゆっくり息を吸い込み、そして―――‥



歌う。



『彼らを包む幸せな日常が
いつまでも続いていきますように


俺は一緒にいられないけれど
これからも楽しく過ごしてよ
どこにいてもずっと願っているよ
君らが忘れていない事を


俺は絶対に忘れない
君らと過ごした日々を
だからお願い泣かないでよ?
俺も絶対に泣かないから
どこにいても繋がっているよ
きっとまた会えるからな


ありがとう
皆で過ごした日常は
いつまでも心の中にあるから
君らが望むなら歌い続ける
この声が君らに届くといいな』

「……聖羅」



透は泣き出しそうな顔をしていた。俺は、にっこり笑って透の頭を撫でる。



「透、お前が一番冷静でまともだからさ、大変だろうけど祐喜と拓真を頼むな」

「………」



戸惑いながら、透はゆっくり頷いてくれた。祐喜と拓真は心外だ、とでも言いたそうな顔をしている。

言い過ぎたか?いやいや、俺は迷惑掛けられまくりで大変だったんだから良いよな!



「俺等はずっと仲間だからな」

「分かってるよ」

「……うん」

「俺はむしろ、恋人の方が――」

黙れ拓真



もう行かなくちゃ。
ヴォルデモートがこっち…、て言うか俺を滅茶苦茶見てるし。あれか、俺の歌が余りに下手過ぎたからかコノヤロー。


睨むようにヴォルデモートを見たら、睨み返されました。目をそらした俺はどうせチキンですよ!






少女は気付きませんでした。彼が少女を見つめていた理由に。彼は全く逆の理由で、少女を見つめていたのです。

彼は、精一杯歌う少女から目が離せなかっただけ。
彼は、仲間の為に想いの全てを歌う少女から目を離したくなくなっただけ。

彼は、聞きほれていただけ。






清らかなる少女の唄声
(それは素晴らしい唄でした)
(闇の帝王の彼が、聞きほれてしまうほど)

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あきゅろす。
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