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咲く桃の季節(2ページ)


ヒラヒラと落ちる桃の花のとってもいい香り。
甘い香りに誘われて蝶々の一匹でも迷い込むかと思ったけれどまだ肌寒い初旬。
内庭は花もまばらで殺風景だった。

やちるはコンペイトウをガリと噛み砕いた。

「今日はせっかくの女の子の日だっていうのに」

みんなお仕事。
なんだか暇で暇で退屈死しそう。

隊長室から「仕事しろチビ」と一角の声、がしたが聞こえない振りをした。


「つまんない、つまんない!」

足をバタバタ。
そろそろ袋に入ったコンペイトウが無くなりそう。
せっかくの祝日なのになんか嫌な日。

ドタドタと隊長室へ入り剣ちゃんの肩に乗る。

「剣ちゃんあたし桜餅が食べたい」

「勝手に買ってこい」

手を振って軽くあしらわれた。

「やだ剣ちゃんと一緒に買いに行くの!」

「我が儘言うなやちる」

「やーだー!!」

こうなったらテコでも動かない。
剣ちゃんの背中にししがみついてめいいっぱいダダをこねた。





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