きらきらひかる 響くボールの弾む音もバッシュの足音も、壊れそうなゴールポストの軋む音も、どれも好きだ。 強いて言うなら試合中の息遣い。ゴールを決めて雄叫びを上げる君の声が一番好き。 「ほんとバスケ馬鹿ですよね」 好物のチーズバーガーを頬張る火神君はいつもの光景。 トレイいっぱいに積み上がったバーガーはものの数分で彼の胃中に収まってしまう。育ち盛りだからってどこに収まっているんだか。 そんな火神君の食欲に呆れながらバニラシェイクを飲むのも僕のいつもの光景。 火神君は口の端に付いたケチャップを指で舐めてチーズバーガーから僕に視線を下ろす。 「お前もどっこいどっこいだろうが」 「そうですか」 嬉しそうに返事を返すと火神君は再びチーズバーガーをガツガツと食べ出した。 どうしようチーズバーガーに負けた気分だ。どうしても意地悪したい衝動に駆られる。 そこで僕は女子が良くやる質問を火神君にぶつけてみる事にした。 「バスケと僕どっちが好きですか」 「あ?」 「だから火神君はバスケと僕どっちを選ぶんですかってきいたんです」 火神の手が止まる。 何かを考える様に視線が外を向き、チーズバーガーを喉に飲み込んで自信満々に答えた。 「そりゃあ黒子とやるバスケに決まってるだろ」 ただちに僕は未開封のバーガーを手に取りイグナイトで顔面に殴り付けてしまった。嬉しいんだか悔しいんだか、馬鹿が愛おしいんだかわけがわからない。 「君は馬鹿ですか。二者択一の問題をきいているのですよ」 「どっちも選べねえんだから両方選ぶ方がいいだろ」 「はいはい足りない頭で良く考えました。火神君偉いです」 聞いた僕が悪かったと片手で頭を押さえる。 火神君がバスケ馬鹿なのは知ってるし、むしろ同等に扱ってくれてるのは嬉しい?いやいや、やっぱり僕が一番って言って欲しかった。 「そういうお前はどうなんだよ黒子」 「僕は、」 じゃあ僕は?一番は火神君。でも僕だけ一方通行なんて釈然としない。そりゃあバスケも同じくらい好きだけど、やっぱりバスケしてる火神君が一番好きだ。 「火神君とバスケがいいです」 「なんだ俺と同じじゃねえか」 「うるさいです」 小さな嫉妬から始まった意地悪はすぐに返されてしまったわけで、不機嫌に僕はバニラシェイクを飲んだ。 火神君はといえば頬をリスのように膨らませて幸せそうにチーズバーガーを食べてる。 「火神君、じゃあ僕とチーズバーガーだと好きなのは?」 「そうだなお前とバスケしながらチーズバーガー食う」 バニラシェイクの容器が火神君の顔面に減り込んだのは言うまでもない。 end |