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(まてぃうすとるか)



「どうしよう……」

道に迷った。しかも平原や南国で迷うならまだしも雪山で。
僕ってトロいから雪に足を取られてる間にみんなとはぐれてしまったみたい。

「寒い……こういう時って動かない方がいいんだっけ」

でもみんなを追い掛けてだいぶ歩いちゃった。
もしかしたら僕が居なくなった事に気が付いてないかも……。

「あはは……まさかね」

どうしよう嫌な考えが頭をぐるぐる回る。違うよみんな捜してるって、だから……。

「こんな所で何をしている」

聞き覚えがある声。涙で潤んだ顔を上げると奇妙な仮面が目に飛び込んできた。

「マ……マティウス?」

僕はとっさに大剣を構えた。
マティウスは剣を向けられても動じる事無く僕を見下ろしている。

「何をしていると聞いている」

「僕を……狙って来たんじゃないの?」

「違うな」

違うんだ。僕は大剣を鞘に納めた。
なんとなくだけどマティウスから敵意が感じられなかったからだ。

「その……僕道に迷っちゃって」

「見捨てられたのか」

「違う!違うよ……そんなんじゃない……」

「ならばお前が仲間を見捨てたのか」

「そうじゃない!だから僕は道に迷っただけだって言ってるじゃない」

「来い」

「えっ、ちょっと……」

マティウスは僕の腕を掴んで歩き出した。
力が強くてちょっと痛い。

「その鎧寒くないの?」

「寒くはない」

「凄く手が冷たいから寒いんだと思ってた。
ねえマティウスは一人で行動してたの?それとも……その、仲間とはぐれたの?」

「仲間を連れていてはお前に怪しまれるだろう」

「やっぱり僕のこと……悪いけど僕は絶対に仲間を裏切らないからね」

「ふん」

マティウスは僕を連れて歩いてく。このままアルカ教団まで連れていく気なのかな。
それなら全力で逃げなきゃ。

ふと僕の目に見覚えのある風景が映った。


「あれは……テノス?」

間違いない。良かった街ならイリアもスパーダも居るはず。

「マティウスありがとう。街まで案内してくれたんだよね」

「勘違いするな。私もテノスに用があっただけだ」

「でも腕を引っ張ってくれてたし」

「お前は私の半身だ。必ず私の下へ来てもらう」

「それはアスラとして?それとも……」






「おたんこルカ!」

振り向くとドロップキックを食らわされた。雪に埋まる僕の体。
雪にまみれた顔を上げるとイリアが怒鳴り付けてきた。

「どこをほっつき歩いてたの!捜したんだからね!」

「ごめん……イリア」



健康的なイリアの肌が林檎みたいに赤い。そっかずっと外で捜してくれていたんだ。心なしか目が腫れてる気がする。

「早く戻るわよおたんこルカ。みんなアンタを捜してるんだからね」

「うん。あっマティウスが……」

「はぁ!?」

「あれ……居ない」

「アンタ寒さで夢でも見てたんじゃないの。ほらチーズスープ用意してあげるから来なさい」

「うん……(でもどうして僕を助けてくれたんだろう)」










「マティウス様」

「チトセか」

「急に居なくなるんですもの。心配しました」

「そうか」

たまたま見掛けたあいつを放ってはおけなかった。
私の半身だからか、それとも……。





end
マティウス→ルカ
ルカもマティウスもお互いの生き方を否定してるのにね。


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