空を見上げて 標的16 その6 小さい声で何かを呟いたXANXUSが左手を構えたのを見て、ツナの前に出る。 『……………』 「……………」 XANXUSの殺気は足が震えて泣きたいぐらい痛すぎる。 けど、ここで座り込まなくなったのは成長したからだと思いたい。 「…そこのガキは老いぼれと似た目をしているし、“来訪者”が他人を守るとはな」 嘲笑うように言ってきたXANXUSに向かって、仕返しとばかりに睨みつけながら言い切る。 『他人…?なに言ってるの。友達だから、仲間だからそれ以外に理由なんてない』 「…………ぷはーーっ!!こいつは面白くなって来やがった!それに悲劇…いや喜劇が生まれそうだな!!…おい、女続けろ」 「はっ。では勝負の結果を発表します。今回の守護者の対決は、桐谷様と沢田氏の妨害によってレビィ・ア・タンの勝利とし……雷のリング、ならびに大空のリングはヴァリアー側のものとなります」 「え!!?」 …やっぱりそうなるよね。 また…ダメだった。 「ルールは私達ですので。それと勝負への妨害といえど“来訪者”を殺す訳には行かないので、桐谷様からは自由をいただきます」 守護者はリングを…、部外者は命をとられるってことか。 それに――― 『自由なんてこっちに来たときから無い』 「そういう自由ではないので。明確に言いますと、本日からリング戦で優勢な方で行動してもらいます。なので……」 近寄ってきたチェルベッロに腕を捕まれたかと思うと次の瞬間にはヴァリアー側(XANXUSの目の前)に立っていた。 「柚ちゃん!!」 「此方で活動してもらいます。ちなみに拒否権はありませんので。あと、リングの数が同じ場合はどちらで活動してもらっても構いません」 『………わかった』 凄い怖いし、不安しかないけど話的には殺される事はない。 情報を渡さなければ大丈夫だ。 そう考える中で、拳を握って俯くツナに声をかける勇気が私には無かった。 〜標的16 END〜 [*前へ][次へ#] [戻る] |