空を見上げて
標的19 その2
夜の静まった校舎に自分の足音だけが鳴り響く。
月の明かりだけで心とも無い中、廊下を見渡す。
…やっぱ、昼と夜じゃ雰囲気違うね。
これが肝試しとかならまだ良いけど、並中の応接室に向かってるって分かる人は悟ってくれるだろう。
暫く歩いて着いた応接室のドアを一呼吸してから開ける。
「遅い」
『そう言われても…。歩いてきたから』
開口一番それって前もあった気がするのは私だけ…?
「君って関西出身だっけ?」
『いや、今住んでたのは関西だったけど元はこっちだよ?』
「ふぅん…。通りで訛りが微妙なんだ」
そう言うと手に持っていた資料の束をめくりだす。
えっ、もしかして呼び出した理由それだけ!?
内心目を見開いていると、恭弥が意味ありげな笑みを浮かべた後こちらを見てくる。
「やはり興味深いね。…君って何者だい?」
『はい…?何者って、至って普通の高こu―――』
「桐谷 柚16歳。2月29日生まれの魚座。得意科目は数学、英語、生物。苦手科目は美術と被服実習。剣道の経験者で、三段レベルの実力保持者…ってことは、流石に分かってる。けど戸籍も無ければ、住民票もなく、どこかの学校に通っていた形跡もない。ねぇ…君はどこから来たの?」
『っ……!』
さっきまで資料が握られていた手はいつの間にかトンファーに変わっていて、恭弥から流れてくる殺気が肌に鋭く刺さる。
リボーンまでは予想したけど、恭弥も調べてたか。
けど、私の予想だと恭弥はその答えを知ってると思われるんだけど…。
それより、この殺気今までの誰よりも強い。
隙あらば今すぐにやられる…そんなレベルだ。
いくら殺気に慣れてきたとはいえまだ敏感なほうだし、今は金縛りにあったかのように身体は動かないけど震えはすごい。
「…………」
『っ………』
互いに目をそらさず、睨みあっているときも威嚇か警告かトンファーを伸ばしたり縮めたりしている。
けど、ここで言うわけにはいかないんだよね。
いろいろ理由はあるけど、骸と約束したし、XANXUSには励まされ(?)たし、ディーノさんにも頼まれた。
……何より、一番初めに約束したツナに待ってもらってるから言えない。
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