空を見上げて
標的18 その6
『あれ…?ディーノさんだけですか?』
「他のやつは時間が時間だから帰した。ヴァリアーのほうにもオレがお前を責任持って連れて行くって言ったら了承してくれたし安心しろ」
『は、はい』
頷くといきなり頭をワシャワシャと効果音が付きそうなぐらい撫でられて戸惑う。
『あのー…ディーノさん?』
「………」
『ディーノさん?』
「……ワリィ。同じ者として訂正しておく」
やっと撫でるのを止めて貰えたと思えば、今度は頭を下げられる。
「口は悪い方だし、キツい言い方をする奴らだけど本当はお前のことを心配してるんだ」
『へっ…?』
「何度も挫かれてきたけど、今回はまだ大きな事が起きてない。だからアイツは緊張感をしっかり持っとけ、と言う意味で言っただけだから気にするな」
『いや、ちょっと待っ…』
「昨日、お前と話した後の奴の顔。珍しく笑顔だったんだ。“今回こそは…”って」
『だから、待っ…』
「負荷を掛ける言い方だってのは分かってるが……頼む“来訪者”。この世界を終わらせてくれ」
顔を上げ、此方をみるディーノさんの顔は何時もと違い今にも泣きそうな顔だった。
……本当、私は無力だよ。
ディーノさんの言葉にしっかり頷く事も出来ずに、私はただ唇を噛み、下を見ることしか出来なかった。
〜標的18 END〜
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