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空を見上げて
標的18 その5

さっきまで死闘が映っていたスクリーンには、血だらけの山本の笑顔が写る。

そんな山本を見てツナ達の方からは安堵の溜め息が聞こえてきた。

良かった…此処までは変わりない。


『チェルベッロ、試合が終わったのだから水の停止を―――』


私の今居るヴァリアーとツナ達の間に立っているチェルベッロの方を見るが、ゆっくり首を横に振られる。


「それは無理です。一度動くと最後まで止まらない仕組みになってます」

『なら!獰猛な海洋動物だけでも…!!』

「ついさっき放たれました。今のアクアリオンに入るのは危険です」

「そんな…!!」


…一歩遅かった。

けど、今からなら間に合うはず!

そう思いアクアリオンに行こうとすると、横にいたXANXUSに腕を掴まれた。


「…諦めろ」

『嫌だ』

「諦めるんだ」


こちらを睨んでくるその目はとても睨んでくるくせに、腕を掴む力は弱い。

多分本気で振りほどけば、私の力でも抜け出せるだろう。

そして足に力を込めて抜け出そうとしたとき、XANXUSのか細い声が聞こえた。


「根本が変わることはない…」

『……!?』

「今を見るな、先を見ろ。それが出来るのが“来訪者(お前)”だ」


はっきりと私の目をみて小さいけど聞き取りやすいこえで話してくる。

けど先って…。


「スクアーロ!!!」


山本の大声に慌てて振り向くと画面の中央の水が赤くなっている。

…結局何も出来なかった。


「ぶはーーっ!ははは!!!最後がエサとは、あの…………ドカスが!!」


XANXUSは私の腕を掴むのを止め、さっきまでが嘘のように大声で笑う。


「過去をまた一つ清算できた」


そう言い、立ち上がると私の横に一瞬立ち止まる。


「……忘れるな。お前の手のひらに全員の命がある」


わかっていても認めたくなかった事を直球で言われ何も言い返せなくなる。


「雨のリング争奪戦は山本武の勝利です」

「それでは次回の対戦カードを発表します」

「明晩の対戦は……霧の守護者同士の対決です」


チェルベッロの声は辛うじて聞けたが、それ以外は何故かボーッとしていて聞けなかった。

そして気が付いたらツナ達も、ヴァリアーも居なくなりディーノさんだけが残っていた。





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あきゅろす。
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