空を見上げて 標的18 その4 …これってもしかして。 よく目を凝らして見てみると、最初は小さかった黄色い点が段々輪郭を帯びてきて、声もはっきり聞こえてきた。 「ミードリタナビクーナミモリノー」 だよね。 どう見たってヒバードだよね…。 此方まで飛んでくると私の頭の上を一回転してから肩に止まった。 『えっと…どうしたの?』 「ヒバード、柚ノ監視。ヒバード、柚ノ監視」 あっ、はい。 恭弥だね。 いや、それはヒバードの時点で分かってはいたけどさ…。 手のひらに乗せてフワフワした毛を触ると、気持ちよそう目を細める。 …これからは一家に一匹1ヒバードだね。 「う゛ぉい…何だその鳥は」 『っ…!?』 ヒバードに気を取られていて、いつの間にか後ろに来ていたスクアーロに気づかず、肩が盛大に揺れる。 『…ビックリした』 「聞いてるのか」 『聞いてるよ。私の所属させられている委員会のマスコットみたいなの…かな』 たぶんそんな認識で合っているはず。 「そうか」 『………』 「………」 それだけ!? 会話が終了して、スクアーロも動くことなく、私もなんか動くに動けず沈黙が流れる。 …もう用事がないなら動いて欲しい。 って、言わなくてはいけないことがあったんだった。 『そうそう、スクアーロ』 「何だ」 『試合に勝ったら繁華街の修理代5倍にするから』 「わかっ……う゛ぉい!?まず、繁華街の修理代ってなんだぁ!!?」 そういや、まだ言ってなかったっけ? 『バジルから“偽物”のリングを盗っていった所の戦闘で壊れた器物の修理代。因みに負けたら3倍にするから』 「どっちにしろ高くなるのかよぉっ!!」 『レンタルの延滞金みたいなものだよ』 「絶対ちがうだろぉっ!!」 淡々と話していくと肩で息をしながらツッコんでくる。 …喉痛くならないのかな。 「…ハァ。まぁ、俺は勝つが払いはしないからな!」 そう自信有り気にニヤリと笑うのを見て、身体が少し硬直する。 そうだよ。 原作通りにいくとは決まってない。 『…ぁ、あと…怪我したら更に10倍だから』 「そんなのしないし、払いもしねぇ。あいつ等に未来なんてもうないんだよ。…来訪者のお前もな」 銀色の髪が視界から消えていくのを見ながら、血が出てきてるのを気にせず拳を握り締め続けた。 Θ [*前へ][次へ#] [戻る] |