空を見上げて
標的2 その4
今は邪魔になっていないとはいえ、ずっと入り口で立っているのも悪いし、獄寺からは【誰だコイツ】という目線を向けられている。
取りあえず殺気を出すのをやめてほしく口を開こうとしたのだが、指一本動かせないのに口が動かせれるわけが無い。
というか、リボーンの殺気を受けて倒れなかったことが我ながら凄いと思う。
しかし、だんだん足が震えてくる。
徐々に殺気が強くなってきているのだ。
だんだん顔を青くしてゆく私に喋っていたツナ達も気付いたらしくオロオロし始めていた。
その中でいち早く原因に気付いたらしくツナが、己の患者ベットに座って私を見ているリボーンに怒鳴りつけた。
「ちょっ!リボーン!!なにしてるんだよ!」
ツナのその言葉でいきなり殺気が消え私はバランスを崩し前に倒れていった。
しかし顔面が床とキス(衝突)する前に腕を力強く引っ張られ助かり、自然とため息がでた。
多分山本だろうと思いながらお礼を言おうと顔を見て目を見張った。
えっ…ごっきゅん!?
『…ありがとう』
頭の中ではプチパニックをおこしながらも、礼儀としてお礼を言う。
しかし、あの忠犬が私を助けてくれるとは…。
本人も同じみたいで目を丸くしながら
「お、おう…」
と返事をしてきた。
「獄寺が人助けするなんて珍しいのな♪」
不意に横から声がして振り向くと白いユニフォームと爽やかな笑顔が視界にはいった。
「…コイツが此処で倒れたら十代目が休んでいらっしゃるのに音をたてて悪いだろうが。ただ、それだけだ。」
いやいや、“音をたてて悪い”って君らが居る時点で音をたてないとか無理だよ…。
そう、つい心の中でつっこんでしまった。
「柚…だっけ?大丈夫か?」
山本が獄寺からこちらを向き心配そうに聞いてくる。
『うん。ただの貧血だと思うよ。』
ちょっと苦しい言い訳だが、普通の人に殺気なんて分からないだろうし、実際に私は貧血になりやすい体質だ。
「確かに、あんな事あったら貧血になるよ」
眉を八の字にして呟く京子にハルは大きく頷く。
「あんな事…?」
揃って首を捻る男子達を代表してツナが京子達に聞いた。
「それはですね――」
ハルが“あんな事”の内容を話そうとするが、私はそれを手で制した。
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