空を見上げて
標的17 その5
『心配してくれてありがとう。連絡出来なかったのは不可抗力です…。あと、こっちに居るのは仕方ないんだ。そっちに戻るには、恭弥を含んだツナ達が勝ってくれたらね』
「ふーん…」
ほんとに仕方ないんだって。
だから殺気仕舞ってあげて…。
ツナ達ビビってるから!
「…気が変わったよ。僕とやる前にあそこの彼らに負けないでね」
「え…」
「じゃあね」
一見原作のようにすんなり帰って行く恭弥。
けどさっき話したからだろうか。
“彼ら”…というかその言葉自体山本にかけていたのに、今はツナにかけていた。
…こういう所が違っているところかな。
そう考えていると服の首根っこを引っ張られる。
『う゛…』
「お前はこっちだろうがぁ!!さっさと帰るぞぉ!!」
『ちょ、タイム!チェルベッロ、20分いや10分だけこの場に残らせて!!』
少し嫌な予感がしてスクアーロの腕をバシバシ叩きながら声を上げた。
「…分かりました。5分だけですよ」
『ありがとう!』
ヴァリアーが窓から出て行くのを見送ってから慌ててツナ達に駆け寄る。
「柚ちゃん!」
『みんなも心配かけてすいませんでした!説教の類は帰ってから聞くから、獄寺の応急処置をさせて』
そう告げて、持っていたショルダーバックから櫛を取り出して獄寺の髪を解く。
すると大小様々な硝子の欠片が音を立てて落ちてきた。
「うわ!!こんなに絡まるものか!?」
『こんだけ硝子が割れているんだから可能性としては大きいでしょ。ほら次は目を開いて』
驚く獄寺をよそに、その鳶色の目を覗きこむと思った通り小さな破片が入っていた。
『Dr.シャマル!目のやつは頼んで良いですか?』
「なんでオレが…。男は診ないってんだろ」
『恭弥に頼んで給料無しにしてもらいますよ?』
「……やりゃいいんだろ、やりゃ」
かなり強引にだが、素人がやって下手に眼球に傷なんてつけられない。
その後も時間が許す限り服とかに硝子が絡まってないかを確認すると同時に止血をしていった。
流石ナイフ。
切り口が綺麗過ぎるね。
「…桐谷様、時間です」
『わかった。…じゃまた明日』
ちょうど、きりのいいところで声がかかり残りはシャマルに頼んでから立ち上がる。
「柚ちゃん…」
そのまま階段に向かおうとするとツナの声に引き留められた。
「オレたち、絶対勝つから今度は柚ちゃんも一緒に花火を見に行こう!!」
「そん時は雲雀も連れて行こーぜ!」
「んなことしたら、花火所じゃなくなるだろうが!」
「極限待ってるからな!!」
……ダメだ、涙出てきそう。
『私もみんなを信じてるから!』
心からの本心なのに、自分の言葉でどこか胸が痛んだ。
〜標的17 END〜
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