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空を見上げて
標的17 その1

何か大きな音がして薄く目を開けたら何故か木目調の天井が視界に入る。

……えっと、確かあのあとヴァリアーが泊まっているホテルにいって、一部屋借りたんだよね―――洋室を。

起き上がって周りを見渡すも“平常心”と書いてある旗とか心当たりしかない。

というか、なんで私は道着を着ているんだろうねー…。

現実逃避をしていると、“平常心”の下に何か……人が倒れているのを見つけた。


『っ!!?大丈夫ですか!?』


床を揺らさないように駆け寄り、藍色の髪を分けて顔を見る。

うわー、凄い整ってるね。

嫌な予感しかしない中、脈を自分のと比べて胸の動きを確認する。

駆け寄った時に少し腕が動いたから意識はあるはずなんだけど…。

取りあえず脈は普通で呼吸もしている。

ちょっとしたことじゃ死なない奴だろうからそんな気はしなかったものも、胸をなで下ろす。


『良かった…』


改めて周りを見れば見るほど家の道場にしか見えない。

しかも何故か端にちゃぶ台まであるし。

少し呆れながら彼を見ていると、背後に気配を感じて立ち上がる。


「クフフ…そんな驚いた顔をしないで下さい。予想は付いていたのでしょう」


…あれ?

目の前に居る彼と倒れている彼をつい交互に見てしまうが、どう見たって同一人物だ。


「あちらの僕は有幻覚ですよ。で僕は実体です。まぁ、君にも幻覚は通用しなかったようですが…」


有幻覚って、この時期使えたんだっけ…?

それに“も”ってなに“も”って。

と、とりあえず数を数えよう。


『1,2,3,5,7,11,13,17,19…』

「…素数ですか?」

『う、うん。…色々聞きたいんだけどまず、君の名前聞いて良い?私は桐谷 柚』

「柚ですか。僕は六道 骸です」

デスヨネー…。

この藍色の髪でパイナッポーヘアーの男性が他にいるとは思えないし。


『骸ね…。有幻覚ってのはよく分かんないけど大丈夫?何か大きな音がして私は起きたんだけど、怪我してないよね?』

「へっ…?」


あれぐらいの大きな音で何もないってのも変だ。


『だから、どっかから落ちたり何かにぶつかったりしてない?』

「はい、大丈夫です。…ってあなた“来訪者”ですよね?僕の事知らないんですか…?」

『…?骸って有名なの??』


本当は知ってるけどさ。

というか、なんで私が来訪者って知ってるの?


「……立ち話もなんですから、あそこのちゃぶ台持ってきましょう」




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