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空を見上げて
標的15 その2

「柚ちゃんー笹川さんと黒川さんよー」


いきなり階下から聞こえてきた奈々さんの声に思わずビアンキと顔を見合わせる。

この場の笹川さんは京子なんだろうけど…あぁ、あれか。

思い当たる節があったので降りる前にリンと竹刀、鞄を準備する。


『もし、イーピンが起きてランボを探しても私が探しに行ってるって言っといてくれない?』

「良いわよ」


何となく察してくれたビアンキが“やっぱり行くんだ”と言う顔になる。

…私だって力になれることはある。

……………ハズだ。

準備ができ玄関に行くと思っていた通り二人がいた。


『よし行こっか』

「えっ…」

『奈々さん、直ぐに帰ってきます』

「…ツナも一緒に早めにね」

『わかりました』


何か言いたげな二人の手を引き玄関を出る。


「柚、私たち何も言ってないよね?」

『うん。言ってないね。あっ探し人はこっちだよ』

「…柚ちゃんってエスパーなんだ」

『いや、京子違うからね!?』


並中に向かいながら一応訪問理由を聞いてみたけど予想したので合っていた。

よく見ると京子は頬が少し赤いし、微妙に髪が濡れている。

…さっさと終わらせて帰ろう。

校門が見えるぐらいになってきたが音も、ましてや光も見えない。

改めて幻覚ってすごっ…。


「…桐谷殿?」

『あっバジル、家光さんも』

「こんな所でどうしたんだ?」


校門前に立っていた二人に此処まで来た理由を説明する。


「成る程な…」

『連れて行ってもらっても良いですか?』

「いいけど、柚ちゃんはいいのか?」

『…大丈夫です』


なら。

といって手招きする家光さんの方へ行くと一瞬視界が揺れた。


「此方です」


バジルが先導役として歩いていく後ろについて行きながら、花にコソッと耳打ちをする。


『これから見るもの、起こることについての説明は何時か必ずする。だから今は黙って見ていて欲しい』

「…わかった。その代わり今度ナミモリーヌのショートケーキ奢って」

『うん。京子とハルも誘って行こう』


本当に周りの人に恵まれてる。

行くときはミルフィーユも付けよう。


「お兄ちゃん…?」




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あきゅろす。
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