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空を見上げて
標的15 その1

夜―――リング争奪戦初日。

原作と同じなら今日は晴の守護者の対決だ。

あの場に居たのだから行きたかった…。

と小さく呟く私は“ツナの部屋なう”状態である。

時間を遡り約40分前、出掛ける直前にかくれんぼを始めてしまったランボを捕まえ、玄関に連れて行く。


「オレっちまだ遊びたいもんね…」


とか言ってるけど、お願い空気読んで。

そこには少し眉間に皺がよっているツナがいた。


「柚ちゃんは残ってて。これ以上危険な目には遭わせたくないからさ」


そう言われると何も言えないので、結局大人しく部屋でジッとしていると言うわけだ。

窓から並中の方を見ているとドアがノックされ、パジャマ姿のビアンキが入ってきた。


「ホットミルク持ってきたわよ」

『ありがとう』


マグカップを受け取り窓を背もたれにして座る。

まだ寒くはないのだが、身体の芯から暖まり顔が自然と綻ぶ。


『チビ達は?』

「もう2人とも寝たわ」


だよね。


「…行かなくて良いの?てっきり柚だったら意地でもついて行くのかと思っていたのだけど」

『行ったって足手まといになるのが落ちだし、結局かなり迷惑かけちゃった…』


あそこで1人で行動してなかったら。

あそこでナイフをしっかり避けきれてたら。

迷惑はかけないで済んだのかもしれない。


「迷惑ねぇ…」

『私がもっと用心してたらヴァリアーに捕まるってことも無かっただろうから』

「そうかしら?あいつ等なら何をしたって同じよ。それにツナ達は心配してただろうけど、迷惑なんて考えてないわ。寧ろツナは“自分のせい”だってぼやいてたし」


確かにあの地上最強と言われる暗殺部隊だ。

あの手この手で来ただろう。

その点は京子達と居なくて良かったと思うところだ。

けど、あんなにすんなり捕まっていたら何のために修行してきたか分からなくなる。

例え相手がヴァリアーだったとしてもだ。

つい目頭が熱くなり、とっさに腕で目を隠す。


「我慢しなくていいのよ?なんなら胸を貸してあげるわ」

『うんん。此処で泣いたら弱さを認めることになるから…大丈夫』


空になったマグカップを握りしめ深呼吸をする。

過去を振り返っても仕方がない。

“枷”となって自由を奪うだけだ。




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あきゅろす。
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