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空を見上げて
標的14 その4

『そうそう、これ朝落としていったよね?』

「あっ…良かった。どこに落としたか探してたらあんな事になったんです」

『ゴメン、もっと早く渡せてたら…』

「持ってきて貰っただけで十分ですよ。ほんとにありがとうございました」


やっと出てきた本来の表情に安心する。

だって、ずっとピクピクされるのもあれだし。

…私の方が低い筈なんだけどね。


『あと少し中も見ちゃった。ゴメン正ちゃん』

「いいですよ…え、正ちゃん?!」


いやー…白蘭がそう呼んでいたからつい。

なんて言えるわけ無くスルーする。


『私は桐谷 柚。訳ありの中2、15歳です』

「人の話聞いてませんよね!?って中2…?15歳…?」

『うん。中2で15歳。ややこしいからタメ口でいいよ。てかタメ口の方が助かる』


思った通り頭にハテナマークが浮かんだ正ちゃんに大袈裟かもしれないけど手を合わせた。


「分かりました。じゃなくて、分かった。けど正ちゃん呼びは…」

『止めない』


即答した私に小さく溜め息をつく正ちゃん。

今更正一に変えろと言うのか。

いや変えれるけど。

『まぁ、すっかりリラックス出来たでしょ?』

「…」


目を見開いて此方を向く正ちゃん。

面と向かって言う私も狡い。

けど、たった一年とはいえ私の方が年上だ。

伊達に長く生きてないんですよー。

と心中で呟きながら立ち上がる。


『言っていた通り、家まで送るよ。ナビ宜しく』


その送り道、“自分の字の手紙が来る”という相談をされ、目を丸くしてしまった。


〜標的14 END〜




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