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空を見上げて
標的14 その3

『高野君、もしかして人質ってこの人?』

特徴を聞いて、嫌な予感がして正一の生徒証明写真を見せる。


「はい。彼です」

『…恭弥はまだだよね?』

「連絡はまだ来てません。あと、私も行きますよ」


正一ってどこまでも巻き込まれ体質なんだな…

深いため息をしつつ、鞄の横にある竹刀を持ち腕章を付け直す。

正一の生徒手帳がポケットに入っているのを確認すると、高野君を先頭に現場へと走り出した。


Θ


呆気ない。

その一言に尽きる。

あれが、修行する前の了平より強い草壁。

私がしたことと言えば正一を少し離れたところに連れて行き、逃げようとした奴らの意識を奪ったぐらいだ。

まだ、この場に着いてから10分ちょっとしか経ってない。


「今回は桐谷さんに免じて多少は見逃しますが、次は委員長に報告します。」

「「すいませんでした!ありがとうございます!!」」

「それでは先に帰っていて下さい」

「「はい!」」


きっかり90゜の礼をしてから、戦利品という名のかつあげ集団の一人一人の身分証明書を持って帰る高野君と橋本君。

きっとあの人たちはブラックリストに載るんだろうなと思いつつ、自販機で買った水を正一に渡す。


「ありがとうございます…」


オドオドしながらも水を少し口に含む正一。


『彼は私が送るから大丈夫だよ?』

「分かりました。お願いします」


流石、恭弥の右腕。

さっきからそうだがはっきり言わなくても伝わるので、かなりたすかっている。

公園から出て行った草壁を見てから、正一の隣に座った。


「あ、あの…ありがとうございました。おかげで助かりました」

『いやいや気にしないで。それに肩の力を抜いてくれたらいいよ』


まだ顔の強張る正一に笑いかける。


「女性の風紀委員って居たんですね…」


ふと、腕章を見て尋ねられた。


『私一人だけだけどね。まぁ、女だからって油断してると痛い目逢うよ?みたいなのかな』

「それはさっきみてよく分かりました…」


正一が頬を軽くひきつらせる。

まぁ、さっきのは序の口だけど。




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あきゅろす。
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