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空を見上げて
標的12 その2

リボーンと共に帰った私を待っていたのは補習ぶんの山に挟まれたツナだった。

流石スパルタ家庭教師の鏡。

容赦の“よ”の文字も見つからない。


「うぅ、柚ちゃんヘルプ…」

『いいよー。って、いきなり間違えてる』

「えっ!?」

『ほら此処』


私が指を指した先には“bifficult”という文字が。


『これじゃ“B”だから“ブィフィカルト”になるよ…。本当は“D”で“ディフィカルト”』


某消せるボールペンを出してきて“bifficult”の上に“difficult”と書き込む。


「“B”と“D”の小文字ってよく間違えるんだよ…」

『あるあるだね。友達もよく間違ってた』

落ち込むツナの頭を二度ほど軽くたたくと脈絡なく口を開くツナ。


「なんで俺なんだろう…」

『ん…?』

「なんで俺みたいなダメツナがマフィアのボス候補なんだろ…」


なんとか聞き取れる声で呟くツナの顔は机にうつ伏せていて、表情は分からない。

けど…これは絶対不安とか恐怖が爆発したやつだ。

まぁ、黒曜戦が終わってやっと日常が――と思ってた矢先にだからね。

無理もない。


「俺じゃなくても獄寺君みたいに頭が良かったり、山本みたいに運動神経が良い人だっているのに」


だが、ツナ自身をそこまで低く評価するのはどうかと思うし、さっきの発言はなんかツナらしくない。


「只、初代の曾曾孫で他の候補が死んだから仕方なくなんだろうな―…」

『ツナ』

「リボーンだってきっと俺のこと―――」

『ツナ!!』

「っ…!?柚ちゃん…?」


大きな声を出してやっと顔を上げたツナの頬に軽く力を入れて叩く。


『前にも言ったけど、ツナはツナなんだよ。他人と比べない。きっとツナは誰にでも優しい良いボスになれる。それにリボーンは仕方なくではない、一人の教え子としてツナを見てくれてるから大丈夫だよ』


他人と自分を比べないと言うのは言わば私の座右の銘だ。

…たまに揺らいでしまうが。

取り敢えず、例え非日常の住人だとしてもツナは中2。

人のことは言えないが、まだまだメンタルも子供。

だが、私が同じ立場ならかなり前にギブアップしているだろう。


『ツナは強いんだから。立ち止まらないで。それに仲間が居るんだから頼ろうよ。勿論、私にもだよ?』

目をパチパチさせ、頬を撫でながらこちらを見るツナに微笑む。

少し力入れすぎたのかな…




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あきゅろす。
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