空を見上げて
標的9 その3 ツナside
「柚ちゃん…?」
いきなりベッドの端にうつ伏せになった柚ちゃんに声をかけてみるが小さな寝息ばかり返ってくる。
とりあえず、寝れたのだから良いのかな?
と思い、側にあったブランケットを柚ちゃんの肩に掛けた。
「やっと寝たか」
「うん…って!?いきなり出てくるなよ…」
何時の間に来たのか、俺の横に立っている赤ん坊。
馴れてきたとはいえ、この登場のされ方は心臓に悪い。
「多分環境がいきなり変わって心身共に着いて行けなかったのだろうが…柚はそれだけではなさそうだな」
「どういうことだよ」
「出逢ったときから、柚は大きな事を隠している雰囲気があるだろ」
確かに感じているし、リボーンが言うからにはほぼ確実だ。
そう思い頷く。
「普通に大阪まで帰るだけなら電車や飛行機を使えばいい。だが行動に移す様子もないし、普段を見ている限り思い付かないということも無さそうだ」
「お金が無いってことは?」
「それならバイトするなりしたらいいのにそれすら気配がない」
「それじゃあ、何でだよ」
リボーンの言いたいことがよくわからず首を捻る。
「…桐谷 柚という人物はこの世に存在しなかった」
「えっ…?!」
存在しないって…
柚ちゃんの頭を起こさないようにソッと撫でる。
今此処に存在してるのに意味が分からない。
「同姓同名は数人いたが、顔や年齢ま身長などが違う。色々考えたんだが…柚は違う世界から来たのかもしれない」
突拍子も無い言葉に俺は開いた口が塞がらない。
「ちなみに、名前や国籍にもとらわれず世界中を調べたが、柚と思われる人は居なかったとボンゴレの調査団から連絡がきている」
「…柚ちゃんはそれを隠してたということ?」
ようやく出た声は自分でもビックリするくらいカスカスだ。
「多分そうだろ。まぁ…それが寝れない原因かは判らないけどな。だが、それなら何故此処が違う世界だと分かったのかが謎なんだ」
確かに。
けど…
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