空を見上げて
標的8 その2
「それじゃあ、やっぱり授業は簡単?さっきの数学もすぐに答え出してたし」
「そうそう。難しかったのにスゴいよ」
『まぁ…理数系だし、自慢じゃないけど頭もそんなに悪くないからね』
医療の道を目指してからは、学力を死ぬ気で上げて今の高校に入ったし。
「なら後で宿題の問3教えてくれない?」
「私も宜しく、柚」
『了解ッス』
そう言いながら少しふざけて敬礼をすると2人とも吹き出して、つられてこっちまで笑ってしまった。
笑いも収まり、次は唐揚げと思いながら箸をのばすと中庭に数人の生徒が現れた。
『えっ…』
その人達を見てつい声が出たのは仕方ないと思いたい。
けど、そのせいで向こうもこちらに気づいたみたいだ。
「あれ?昨日の子だ」
「やっぱりズル休みだった??」
そう…あの不良集団だ。
何かこちらに訊ねようとする京子と花に“ちょっとゴメン”とアイコンタクトをしてから立ち上がり、ほうきを持って不良集団の方へと数歩歩く。
リボーンは関係ないかもしれないけど、呪う…ってもう呪われてたか。
「制服姿も可愛いね」
「後ろの2人と一緒に遊んでくれたら昨日のことをチャラにしてもいいけどー?」
「今日は風紀委員も居ないことだしさ。ゆっくりしようよ」
お前等は風紀委員が居なかったら何でもするのか…。
それじゃあ…目の前の奴が風紀委員だったらどうするんだろう。
自分だけならともかく、京子と花を出されたからには、強制で持ってしまった権力を使わないとね。
スイッチが入り、そう思うと同時に素早く左腕に腕章をつける。
2人の顔は背を向けているからわからないけど、不良集団と同じように目が見開かれているであろう。
「なっ…!!」
「こいつ風紀委員かよ…」
「つか、女の風紀委員居たんだな」
「…風紀委員とはいえチビで女だろ。高が知れてる」
どこぞの王子(仮)ではないけど、今の言葉カッチーンってきた。
『なら試してみる?』
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