空を見上げて
標的4 その3
その隙をついてリボーンがこちら見てくる。
「全然驚かないな」
『いや…規模が大きすぎてイマイチ実感が湧かないや』
少しぼかしながら答える。
実際にVongolaの規模は世界一のはず。
「そうか」と素っ気ない返事を聞いているとツナが息をのんだ。
「柚ちゃんは常識人だ…!」
『私で常識人って…ツナは大変なんだね』
間髪を入れず元々思っていた事を言うと深いため息をつくツナ。
「そうなんだよ…リボーンがさ、スッゴいスパrut…ブッ」
頭にクリーンヒッター!
つい10年後ベルが言っていたことを家庭教師の惚れ惚れする蹴りをみて口に出しそうになり慌てて手で抑える。
「やっぱりお前の頭はオレの土踏まずにフィットするな」
「痛ってー…。その言葉、入院してから何度目なんだよ!!」
もしかしなくても獄寺や山本が退院しているのに、ツナだけ退院できていない理由はそれか。
やけに静かな横をチラリと見ながら納得する。
獄寺が苦笑いって今日はまた珍しいものを見たかもしれない。
『ツナ』
「ん?なに??」
リボーンとまた言い合っているツナに呼びかけると自然に笑顔を浮かべながらこちらを向いた。
その笑顔に嘘をついている罪悪感を少し感じながら、口を開く。
『もし、ツナがよかったらなんだけど…当分泊めさせてはもらって良いかな?』
いきなり話を戻したから少し目を丸くされた。
だけどすぐ頬を人差し指で掻きながら答えてくれる。
「…さっきはリボーンがいきなり言ったからビックリしただけで、俺も歓迎するよ。お母さんも良いって言うと思うから心配しないで。ちょっとチビ達がうるさいかも知れないけど…」
そう言いながらさしのべてきた手を、はにかみながらとると、満面の笑みでかえしてくれた。
彼のこういうところが大空と言われたI世の再来と呼ばれる理由だろう。
この時、この瞬間から私の中のツナが漫画のキャラクターから、今この世界に共に生きている一人の少年に傾き始めたのだった…
〜標的4 END〜
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