空を見上げて
標的3 その1
私が作ってしまった静寂。
それは数秒か数分かは分からなかったが、それを破ったのは獄寺とハルだった。
「嘘だろ」
「なに言ってるんですか獄寺さん!」
ボソッと言う獄寺に向かって言うハルは今にも頭から湯気を出しそうだ。
『いいんだよハル。私もそっちの立場なら疑うと思うし』
そう言いハルをなだめようとしたが、「でも…」と言っているところから、簡単には引き下がってはくれないらしい。
『ハルや京子みたいにすぐ信じてくれたり、今みたいに疑われたり人の考えは色々だよ。十人十色ってね』
少し無理矢理微笑むと声が聞こえてきた。
「――ziる。信じるよ」
驚いて声のした方へ顔を向けるとそこには一人で慌てるツナがいた。
「えっ?俺いきなりなに言っているんだろう?いや…思ってはいたんだけど、何で声に…」
そんな慌ててるツナをよそにリボーンは少し笑みを浮かべて獄寺に言った。
「お前のボスはああ言ってるぞ」
その言葉に少し間を開けてから獄寺が口を開いた。
「十代目がそうおっしゃるなら…」
すると慌てていたツナが“ハッ”としてリボーンに向かって怒鳴った。
「何度言えば良いんだよ!俺はボスにはならないって!!」
ツナ…“には”ってボスにはならないけど、マフィアにはなるって言ってるようなものだよ。
私が心の中で呆れていると、京子が可愛らしく首をひねって「ボス…?」と呟いた。
しかもその呟きがツナに聞こえたらしく慌てだす。
そんなツナに少し苦しいが助け舟を出した。
『そりゃ、缶コーヒーにはなりたくてもなれないね…』
ちなみに、呆れた声と苦笑いがオプションでついている。
「えっ…?あっ、うん。そうだよね。アハハハ…」
ツナは一瞬驚いたが、すぐに肯定し乾いた笑いをした。
「そっか、缶コーヒーか…」
「ふーん」っ納得した顔の京子と
「なんなら買ってきましょうか?」
とツナに尋ねるハル。
まあ即答で「要らないよ!」と言われていたが。
とりあえず、無事に誤魔化せたみたいだ。
1人心の中で“ホッ”としているといきなり頭をポンポンと撫でられた。
誰だろうと思うと上から声が降ってくる。
「俺も別に嘘をついているなんて思ってないからな」
さわやかな笑みを浮かべて、なお私の頭を優しく撫でる山本。
私は顔に熱が集まってくるのを感じながら、照れ隠しに呟いた。
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