[携帯モード] [URL送信]

並盛中の日常/ある男子生徒の観察記録
#07

あの騒ぎから、2週間。
牛柄くんは概ね、午後の1時から2時くらいに『ランボさん』になることが多い。

数日置きに現れる『ランボさん』にクラスメートも教師も、アッサリ慣れた。
まぁ、5分間限定と思えば、大概のことは寛容になれるってもんだ。





『ドン!』

…聞き慣れてしまった爆音が轟く。
煙が晴れれば、そこにはいつも通りランボさんが居た。

……修学旅行のグループ分けの最中、だったんだけどな。
このタイミングでランボさんになっちゃうと、お前何処に突っ込まれるか分からんぞ?

まぁ、周囲の連中も慣れたもので、
『ランボさんはどのグループに入る?』
と、普通に牛柄くんとして扱っている。

…ランボさんはキョトンとしていたが、嬉しそうに

「つよいところ!」

と言っている…。
いや別に、何かのスポーツをするとかじゃないし。
ランボさんの言動は変で面白い。

「ん〜強い所かぁ…おい瀬戸口」

…ナンデスカ。

なんで、そこで俺の名前が出る?
ちょびっと嫌な予感がするのは気のせいだよな?

「…はい?」

「ランボさん、お前のグループな」

何故。
ランボさん『強い所』って言ってるじゃないか。
俺、『強い所』に該当するもの一つも持ってないが?
平均・平凡・平穏(これは最近乱れ勝ちだけど)が俺の代名詞よ?
…言ってて哀しいケド。

「だってお前『ランボさん係』だし」

ちょいまて。
何だそれは。

俺は断じてそんな役職に就いた覚えはないが?

「だってランボさん一番懐いてるし、保護者直通ケータイ持ってるし?」

……何だ。ケータイ欲しいのか?
言ってくれれば、いくらでも譲るのに。

「要らん」

…ッチ!即答しやがって。

……おい、ランボさん。
そこのお兄ちゃんはバスケ部のエースだぞ。
背ぇでかいだろ。強いぞ〜。

「…おい。要らん事言うな!」

「…つよい?」

キラキラと目を輝かせ横に立つクラスメート…松尾にロックオン。
…よし。俺から関心が外れた。

「じゃあランボさんとせとぐちは、そこにはいるんだもんね!」

うおおおおい!!
何故そこで俺の名前が含まれる!
……全っ然、関心外れてなかったのな…。

「…決定だな。じゃあ瀬戸口と松尾とランボさんがグループってことで」

今まで口出しをしなかった担任が、このタイミングで介入してきた。
…オトナって狡いよね。

このタイミングで嫌がったら俺が悪者じゃないか。
…うっかり巻き込まれた松尾には同情しないが。

『…ランボさん係、分担しような?』

そう松尾に言葉を掛けながら、旅行中に牛柄くんがランボさんになるのを、ほぼ確定事項として考えている自分にため息をついた。





NEXT
ランボさん(大)の意志はまるで反映されないグループ分け(笑)


[*前へ][次へ#]

8/24ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!