並盛中の日常/ある男子生徒の観察記録 #05 保健室にいるランボ・ボヴィーノの様子を確認すると、先生は保護者への連絡のために保健室を退出した。 まあ、校内で生徒が頭に怪我すれば教師も大変だろう。 管理責任がどうのこうのと、煩いご時世だから。 で、何故か俺は保健室に居る訳だが。 保健医も先生に同行してしまい、俺は様子を見ているよう言われたんで、仕方なく近くの椅子に座っている。 様子を見ると言っても、元のサイズの牛柄くんがベッドで寝てるだけで、これと言ってすることもない。 5分間を経て元に戻った彼は何故か怪我をしていた訳だが。 …どういう仕組みというか、体質なのか非常に気になる。 ……気にしたら負けのようなカンジがするので、全力で無視するけど。 「ねえ、君」 …はい? 窓辺をぼんやり眺めていたら、突然声を掛けられた。 いつの間に入ってきてたんですか? …つか。 誰ですかアンタ。 二十代半ばくらいの美形さん。 とてもじゃないが一般人とは思えない、怖い空気を漂わしているんですが。 そんな人が中学校の保健室に何の用ですか。 「…はい、なんでしょうか…」 「君、3ーBの瀬戸口ルカだよね」 「……はい、そうですが…貴方は?」 初対面の人間にフルネーム呼び捨てってどうよ? …とは思うけど、怖いのでその辺は全力でスルー。 「仔牛の知り合い。これ沢田綱吉からの依頼品」 「…は?ツナさんから? ……って、まさか携帯電話ですか?」 嘘だろう? だって、さっきの騒ぎから、まだ1時間も経ってないのに。 「まさかって何さ。必要だから至急って聞いたけど?」 ジロリと睨まれ、息が詰まる。 怖い。何か怖い。 何なのこの怖い人。 「あ!いえ!あまりに早かったので!スミマセン!」 「そう?じゃあ、はいコレ。使い方は分かるでしょ。 アドレス帳に僕の携帯電話の番号、入れといたから」 「…ツナさんでないんですか?」 てっきり、ツナさんへ連絡するものと思っていたんだけど。 「…しょうがないでしょ?彼、日本に居ないんだから」 非常に面白くなさそうにそう言う、怖い人。 …日本での保護者なのに日本に居ないんですか。 イロイロ尋ねたい気もするが、下手な質問はヤバイ感じもする。 「…そうでしたか…ありがとうございます。 ランボ・ボヴィーノの事で何かあったらお電話します。 ………よろしく…お願いします……」 『俺がヨロシクされた方なんだけど』 と言う言葉は敢えて飲み込んで、そう答える。 「じゃあね」 そう、言うと怖い人は保健室を出て行ってしまった。 …怖かった。 何か良く分からんが、怖かった。 電話を使う様な事態にならないことを心から願うぞ…俺は! ………。 あれ? 怖い人の名前、聞いてなかった…様な? オニューの(と思われる)ケータイの袋を片手に。 何となく、泣きたい気分になった。 NEXT ヒバリさん登場。 [*前へ][次へ#] [戻る] |